保育業界の6つの問題点とは?解決のための改善策とともに解説
「保育士不足」・「待機児童問題」、こうした言葉はニュースなどでも多く取り上げられ、広く知られるようになりました。そして、今もなお、保育業界の課題となっています。
これらの問題解決のためには、保育士の労働環境を改善することが大切です。今回は、保育における問題点と改善策を解説していきます。
保育業界の問題点とは
保育士不足や待機児童解消のほかにも、保育業界では、さまざまな問題点が挙げられています。
保育士不足
保育士不足の問題は、たびたび話題になるため知っている人も多いのではないでしょうか。少子化といわれている現代でも、保育士の不足が叫ばれています。
厚生労働省の「保育士の有効求人倍率の推移(全国)」では、令和3年1月の保育士の有効求人倍率は、2.94倍となっており、人材確保に向けた競争が高まっています。
全職種の倍率、1.15倍と比較すると、保育士の求人倍率がいかに高いかがわかります。
保育士の人材確保ができなければ、待機児童問題といった他の問題解決も難しいでしょう。
保育士資格を有していても、実際には保育業界に携わっていない、いわゆる「潜在保育士」も多く、人材確保に向けた取り組みが重要課題といえます。
待機児童問題
待機児童問題も、大きな課題といえるでしょう。令和2年に公表された厚生労働省の「保育所等関連状況取りまとめ」によると、待機児童数は減少傾向にありますが、未だ解消には至っていません。
特に、1~2歳児の保育ニーズに合わせた保育事業の展開が求められていますが、そのためには、十分な保育士の配置が必要になります。
保育士の業務過多
保育士の仕事は、一人ひとりの業務負担が多いといわれています。保育士の主な仕事は子どもの生活におけるお世話ですが、それ以外に事務的作業も多く担っており、仕事内容は多岐に渡ります。
【例】
- 連絡帳の記入
- 指導案やクラスだよりの作成
- 誕生会の出し物の準備
- 行事の企画書作成
- 運動会の道具作り
- 生活発表会の振り付け考案や衣装製作
手作業で行う業務も多く、仕事量の多さから、勤務時間内に作業を終わらせることが困難で、園児の降園後に残業をしたり家に仕事を持ち帰ったりすることも珍しくありません。
シフト制とはいえ、クラスを持てば実際の勤務時間より早く出勤することも、遅くまで対応することもあります。結果、労働時間が長くなるのも日常茶飯事です。
こうした仕事量の多さが、離職率にもつながっています。
人間関係のストレスを抱える保育士が多い
近年では、男性の保育士も増えつつありますが、まだまだ女性が多い保育業界は、職場環境の問題も求められます。保育士の仕事はチームで行うため、職場内の人間関係は重要です。
一方で、女性が多いことから「女性特有」の人間関係の問題があり、「雰囲気が悪い」「嫌がらせをされる」といった精神的ストレスから離職を考える人も少なくありません。
人間関係の風通しをよくする取り組みや配慮も求められるでしょう。
また、保護者の中には保育士や保育園に、必要以上の要求をしたり、過剰にクレームをつけたりする人もいます。そのような保護者への対応により本来の保育に支障が出ることも、保育士の悩みにつながっています。
多忙さに見合わない保育士の待遇
給与に不満を抱く保育士も多数います。保育士は子どもの命を預かるため、責任は重いものです。さらに仕事量が多く、残業することもあれば、休日に持ち帰り業務をすることもあります。
しかし、保育士の給与は、一般企業より安い傾向にあります。仕事内容に見合った報酬や待遇を得られないことに耐えきれず、退職する人も多いです。離職率を減少させるには、待遇改善が重要といえるでしょう。
潜在保育士が多い
保育士の資格を保有していても従事していない、潜在保育士が多数います。平成27年の厚生省の調査では、約70万人ほどの潜在保育士がいるとされています。
保育士資格のみ取得して、1度も働いたことがない人もいれば、保育士を退職した後に別の職種に転職した人もいるでしょう。また、妊娠・出産を機に退職し、そのまま復職しないケースも多くあります。
潜在保育士の後押しもまた、大きな課題のひとつでしょう。
保育問題を軽減するための改善策
保育問題を解消するためには、保育士の離職を減らす、人材を確保するなどの対策を打つ必要があります。どのような改善策が考えられるのか、具体的に見ていきましょう。
労働環境を改善する
保育士が働きやすい環境に改善していく取り組みが重要です。
【例】
- 園独自のキャリアアップで給与を上げる
- 残業時間を減らす
- 休日をしっかり取れるようにする
保育士の業務負担を減らすことで、満足度も変わり、離職率の減少につなげることができるでしょう。
チームで働く環境作りをする
女性の多い職場での人間関係問題は、大きな心労となります。クラス内のつながり、横とのつながり、縦とのつながり、さまざまな関わりがあるなかで、人間関係の悪化は、業務の妨げにもなり兼ねません。
陰口や新人いじめ、意見が通りにくいなどは、管理者が見ていないときに起きています。現場の声をしっかり聞き、チームで働きやすい環境を作ることで、離職を食い止められる可能性が上がるでしょう。
保護者対応を保育士任せにしない
保育士個人に任せきりにせず、場合によって園全体で対応することも改善策のひとつかもしれません。
保護者の中には、それぞれの保育士によって態度を変える、過剰な要求をしてくるモンスターペアレントも存在し、精神的に病んでしまう保育士もいます。
対応マニュアルを作成して対応を統一したり、モンスターペアレントの対応を園全体で行ったりすることで、保育士の心的ストレスを軽減することができるかもしれません。
潜在保育士の復職を促す
潜在保育士の復職率を上げる取り組みも重要となるでしょう。国としての取り組みには、以下のものが挙げられます。
- ハローワークと連携し、潜在保育士と保育施設のマッチングを行う
- 再就職希望の潜在保育士に向けた保育実技研修の強化
- ブランクによる不安の解消を目指した保育士職場体験講習会の実施
参照元:厚生労働省|保育士確保プラン
また、出産を機に退職した保育士も多いため、子育て中の潜在保育士が働きやすい環境作りの構築も求められるでしょう。
保育ICTシステムを導入する
保育士の負担軽減を図るために、ICTシステムを導入するのもひとつの方法です。
ICTシステムとは、IT技術を使って情報共有をするシステムのこと。ICTシステムを保育の現場に導入することで、子どもの出欠確認や時間外保育料の計算などの効率化を図ることができます。
【例】
- 園児の登降園管理
- 職員のシフト作成
- 保育料の計算
- 保育日誌や指導案の作成
さまざまな業務を効率的に行えるので、結果的に「労働時間の短縮」や「業務負担の軽減」につながるでしょう。
保育ICTシステムの導入については、現場の保育士や、保護者からの理解も得られなければうまく活用することができません。ICTシステムの導入を検討する場合には、事前に説明を行うことが重要です。
サブスク導入でおむつ管理業務を効率化
業務の負担軽減はできるところから取り組むことが大切です。まずは、おむつのサブスク「手ぶら登園」などの保育サービスを試してみるのも効果的です。
手ぶら登園は、現在約1,000の保育施設に導入されています。導入施設の中で、保育士の業務改善に積極的に取り組んでいるぬくもりのおうち保育園では、業務効率化の取り組みの一つとして「手ぶら登園」を全園で導入しています。
おむつが直接園に届き、園で定額使い放題のため、保育士側の管理が楽になるのはもちろん、保護者によるおむつ準備の手間もなくなります。
まとめ
保育士問題には、労働環境が大きく関わっています。保育士不足の現状を変えるためには、離職率を下げる、潜在保育士を確保するといったことが必要不可欠です。
そのためには、保育士の業務負担や労働環境の改善などの取り組みが重要であり、それらを改善することで待機児童など、より大きな問題の解消にもつながってきます。
おむつの管理が楽になる手ぶら登園
おむつのサブスク手ぶら登園( https://tebura-touen.com/facility )とは、保護者も保育士も嬉しいおむつの定額サービスです。手ぶら登園は、2020年日本サブスクリプションビジネス大賞を受賞し、今では導入施設数が1,000施設(2021年6月時点)を突破しています。
保育園に直接おむつが届くため、保護者はおむつを持ってくる必要がなくなり、保育士は園児ごとにおむつ管理をする必要がなくなります。