手ぶら登園保育コラム

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働き方改革が保育士の仕事にもたらす影響は?期待される変化や現場の課題とは

2019年よりスタートした「働き方改革関連法」は、少子高齢化による労働人口の減少を懸念し、以下の目的を持って施行されました。

  • 労働の生産性をあげること
  • 育児・介護など、さまざまな事情を抱える人たちの雇用機会を拡大すること

働き方改革が保育業界にもたらす影響と、課題について解説します。

働き方改革は保育業界にどう影響する?

「有給休暇が取りづらい」「長時間労働、仕事の持ち帰りが常態化している」など、ブラックな事情が横行している保育業界。

平成25年の厚生労働省の資料によると、全国の保育士登録者数は約119万人です。

しかし実際に仕事をしている保育士は、その半数にも満たない43万人程度であり、潜在保育士の数は76万人にものぼると言われています。
厚生労働省が行った調査によると、潜在保育士が復帰を希望しない理由として「賃金が希望とあわない」「休暇が少ない・休暇が取りにくい」ことが挙げられています。

また保育所や認定こども園への就職者数はH28年をピークに減少傾向にあり、慢性的な人手不足に陥っている現場も少なくありません。

改革が求められる保育現場。働き方改革の施行により、どう変わっていくのでしょうか。

残業時間に上限規制が設けられる

今回の働き方改革により、労働基準法が1947年ぶりに改訂されました。

働く人々の健康を守るため長時間労働の上限規制が設けられます。

以前は残業時間に規制がありませんでしたが、2019年以降は特別な事情がない限り、下記時間を超えての残業ができなくなります。 

  • 月に45時間
  • 年に360時間

月に45時間の残業とは、1日に換算すると2時間程度です。

しかし臨時的に特別な事情があり、労使が合意した場合は以下のように残業時間を延ばすことができます。それでも月間45時間を超える残業は、6カ月を超えて行うことができません。

  • 月に100時間未満(休日労働含む)
  • 年に720時間以内
  • 複数月の平均が80時間以内

月に100時間の残業とは、1日に換算すると4時間程度です。
厚生労働省「平成30年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均残業時間は1日4時間程度といわれています。

長時間労働が常態化している保育園。働き方改革を行うには、管理職の意識改革や、非効率な業務をなくすことが急務といえるでしょう。

 同一労働同一賃金

「同一労働・同一賃金」とは一体なんでしょうか。

簡単に言うと、雇用形態や性別、人種や国籍に関係なく、同じ仕事をした人に同じだけの賃金を支払うべきという考え方です。

同一労働・同一賃金を徹底することで、正社員と非正規社員の不合理な差をなくし、多様で柔軟な働き方を選択できる社会にすることを目的としています。

職務内容や配置転換が正社員と全く同じであるにもかかわらず、通勤手当や住宅手当など の待遇に大きな差が出ることは、今後違法となる可能性があります。

当初は大企業のみの適用でしたが、2021年4月より中小企業も対象となりました。

年5日の有給休暇取得が義務化

いままでは有給休暇を取得するために、労働者が自ら申し出る必要がありました。

しかし保育の現場は常に人手不足。有給休暇を取得しにくかったり、休暇を取得したいと言い出しにくい雰囲気の園も存在するようです。
働き方改革施行後は、年間5日以上の有給休暇取得が義務付けられました。

今後保育園は保育士の希望を聴き、年5日の有給休暇を取得してもらう必要がでてきます。

働き方改革における保育園の課題とは

保育士は、保育のほかにもたくさんの仕事を抱えています。

しかし事務仕事に充てられるのはお昼寝の時間程度しかなく、残った仕事は勤務時間外に行っているのが実情です。
そのため業務時間内に終わらなかった仕事を自宅に持ち帰る保育士も少なくありません。

常態化する長時間労働を是正するには、どういった取り組みが必要となるのでしょうか。

行事の内容を見直す

運動会や保育参観、文化祭など、1年を通してたくさんの行事がある保育園。
行事の前、保育士はひときわ忙しくなります。場合によっては準備が深夜に及ぶことも……。

保育園は働くお母さん、お父さんのために子どもを預かる施設なので、平日に保護者を呼ぶ行事はほとんどありません。
しかし幼稚園と保育園、2つの機能をあわせ持つ認定こども園は、子どもを預かる時間も長いうえに、幼稚園並みに行事が多いこともあります。

保育士の長時間労働を改善するためには、行事の内容や量を見直すことが必須です。
場合によっては行事の回数を減らす必要もあるでしょう。

ICT化で効率化

いまだに手書きの文化が根強く残っている保育業界。

保育士が作成する書類は多岐に及びます。

  • 保育日誌
  • 保育だより
  • 連絡帳
  • 保育指導案
  • 子どもの成長記録
  • 保育要録

令和の現代においても、上記すべての書類を手書きで作成している園はめずらしくありません。
非効率な業務を改善するためには、ICTの導入が急務となるでしょう。

ICTとはインフォメーション・アンド・コミュニケーション・テクノロジーの略で「情報通信技術」を意味します。
ICTを活用すればさまざまな業務の効率化が期待できるでしょう。

たとえば、クラス便りをパソコンで作成、メールで一斉送信すれば、印刷・封入の時間を削減できます。
また、毎日の欠席確認、延長保育申し込みをアプリで管理すれば、朝の電話番が不要になります。伝達ミスを防ぐ効果もあるでしょう。

複雑で時間のかかるシフト表を、園のルールにのっとって自動的に作成してくれるアプリも存在します。

しかし保育業界にはパソコンやインターネットを苦手とする職員もおり、なかなか導入に至らない側面があるようです。

仕事を分担する

保育士として最も大切にしたい仕事は、子どもと関わる保育の時間です。

保育士にしかできない仕事と、他の職員でもできる仕事を明確化し、分担すれば保育士の負担を減らすことができるでしょう。
具体的に言えば、園内清掃や壁面装飾の作成は、保育士以外の職員でも行えます。

場合によっては仕事の外注化も必要です。

働き方改革において期待される保育現場の変化

働き方改革が進むことで、保育現場にどのような変化がうまれるのでしょうか。

ワークライフバランスが整い、働きやすい環境に

長時間労働が規制されれば、忙しい保育士たちにも余裕ができます。

良い保育を行うためには十分な休息が必要不可欠。労働環境の改善は、保育の質を高めることにもつながるでしょう。

正社員・非正規社員の格差がなくなりモチベーションアップ

待遇差が解消されれば、パート保育士のモチベーションアップが期待できます。

また「妊娠、出産を機に退職し、復職したいが育児との両立を考えると難しい」と考える潜在保育士たちも、待遇差を解消することでパート職員として復職する可能性が出てくるでしょう。

働き方改革で人手不足解消の期待も

給与水準の改善もあり、ここ数年保育士の待遇は少しずつ向上しています。
保育業界は慢性的な人手不足に陥っていますが、本来は子どもの成長を身近に感じることができる大変魅力的な職業です。

保育士という仕事の魅力を伝えるには、労働環境の改善が必須です。
保育士不足が改善されれば、新規園の立ち上げもでき、待機児童問題の解消も期待できます。

よりよい未来を目指すため、経営者と保育士の双方が協力し合い、生産性の向上を目指していきましょう。

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