手ぶら登園保育コラム

保育園の運営に役立つ情報を発信

千葉県浦安市公立園での手ぶら登園の事例〜保護者支援の取り組みの一環として~

市内におよそ60園の認可保育施設を抱える、千葉県浦安市。子育て支援を積極的に行う同市が今回新たに取り入れたのが『手ぶら登園』でした。2021年10月より2か月間、おむつの定額制サービスのテスト導入が行われ、2021年12月より正式に利用が始まっています。

同市の子育て支援の考え方、そして『手ぶら登園』導入の背景を、保育幼稚園課 獺庭(おそにわ)さんに聞いていきます。

浦安市の子育て施策の特徴や最近の取り組みを教えてください。

令和2年3月に「第2期 浦安市子ども・子育て支援総合計画」を策定しました。

これは近年の子ども・子育てをめぐる社会経済状況を踏まえて、浦安市で安心して子どもを産みたい、子どもを育てていきたいと思えるような環境を築くために策定している子ども・子育て支援の取り組むべき施策です。

例えば、子育てケアプランといって、地域子育て支援員や保健師等が保護者の方々と一緒に子育てのケアプランを作っていくものや、産前産後に不安を抱える母さんに対して相談にのる等のサポートがあります。

また、浦安市の保育の質を確保するために市内の保育基準・目安になる「浦安市保育の質のガイドライン」を策定しました。これによって各保育施設での振り返りを行い、保育の質の確保や向上につなげています。

手ぶら登園を知ったきっかけについて教えてください。

保護者の物理的・心理的不安、保育士の業務負担を改善していくことができれば、市として子どもや保護者の方々と関わる時間を増やすことができ、支援に繋がるのではないかと考え、双方の負担軽減に繋がるサービスを探していました。

どんなサービスがいいか現場の園長と一緒に考えていたときに「まずは当たり前のように行っていることから見直してみよう」という話になりました。Webを使って様々なサービスを検索していたときに、一番に目が止まったのがおむつの定額制サービス「手ぶら登園」でした。

手ぶら登園を知った時、どのように思いましたか?

保護者と保育士双方の負担軽減ができるところが、今の私たちにとってまさにぴったりなサービスだと感じました。

また、私も実際に雨の日に子どもを自転車の前後に乗せた上でたくさんの荷物を抱えて登園をする保護者の姿や、かさばる紙おむつを購入した後におむつ1枚1枚に名前を書く姿などを目の当たりにしていたので、保育現場の現状がすごく反映されていると思いました。

加えて、おむつは毎日何枚も消費するものなので「所有する」より「利用する」という、サブスクリプション(定額制サービス)の考えは理に適っているように感じました。

手ぶら登園導入までの進め方を教えてください。

市としては実証実験を行い、おむつ定額制サービスの業者を募った上で、導入に向けて保育園のお手伝いをさせていただくという形を取りました。そのため、導入の決定はあくまでも保護者の選択によるものです。

具体的には、まず始めに公立保育施設7園で2か月の実証実験を行いました。その後、保護者に対してアンケートを行い、その結果を受けておむつの定額制サービスの導入を決めました。

実証実験をさせていただいたことで、紙おむつと子どもの肌の相性を見たり、毎日の準備時間の違いを体感したりすることができ、私たちにとっても保護者にとっても非常にありがたかったと感じております。

手ぶら登園を導入するにあたって懸念点はありましたか?

園長とはその都度話をしていたので、園との調整に関しては特に問題ありませんでした。

導入するにあたって意識したのは、保護者の働き方によって毎日登園をする家庭もあれば、週に3日だけ登園をする家庭もあるということです。様々な家庭があることを考慮し、「サービスを利用しない」という選択肢も取れるように調整しました。

また、浦安市には規模が異なる公立保育施設が7園あるので、規模の小さい園ではおむつの保管方法についても検討しました。

保育士や保護者の反応を教えて下さい。

保護者の方からは「紙おむつを持ってこないだけでかなり荷物が減る」「家で名前書き等の準備に要していた時間が減った」という声を頂いています。

保育士からは、「初めてのものを導入するのはすごく不安があったが、慣れると楽だった」「保育室を移動して遊ぶ際に、個人の紙おむつを運ぶ手間がなくなった」「おむつ交換にかける時間が少し軽減できているので、その分子どもとやりとりができる」というような感想がありました。

それに加えて、サポート体制が充実していて、レスポンスも早いので助かっていると聞いています。

手ぶら登園を導入してみて良かったことについて教えてください。

すごく魅力的だと思っているのが、保育士研修動画「手ぶらアカデミー」ですね。私も全部確認させていただきましたが、内容も素敵でした。私立の保育士はキャリアアップ研修がありますが、公立にはありません。

もちろん公立の保育士もスキルアップしなくてはいけないので、このような保育士研修コンテンツを提供頂けるのは非常に有難いです。提供いただいた動画をそれぞれの階層別に分け、今年度の保育士研修計画に入れさせていただきました。

他にも動画の活用方法として、業務効率化のための「ノンコンタクトタイム」での活用を考えています。1つの動画が比較的短時間にまとまっているので、子どもたちと離れてこちらの動画を15〜20分程度視聴し、気持ちを少しリフレッシュさせるような使い方をしていこうと考えております

あとは、コロナ禍における休園時の処置ですね。休園が3日以上続いた際に、保護者に対してAmazonのギフト券をプレゼントしていただいたことで「心理的にありがたかった」と保護者からご意見いただいています。

手ぶら登園に期待することについて

紙おむつとおしりふきに加えて、おしりに敷くシートとおむつを入れるビニール袋をセットにしていただけると嬉しいです。また同時に、消費するゴミの軽減やリサイクル等で環境に配慮した取り組みなども今後期待しています。

まとめ

今回は、保育幼稚園課 獺庭(おそにわ)さんにインタビューを実施しました。子育て支援を積極的に取り組む浦安市。『手ぶら登園』の導入をきっかけに、保育施設での子育て支援がさらに進むことを期待します。

保護者・保育士の「時間と気持ちのゆとり」を創出するために、『手ぶら登園』のような支援サービスを前向きにご検討いただけたら幸いです。

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