手ぶら登園保育コラム

保育園の運営に役立つ情報を発信

保育士、保護者の環境づくりが「子どもたちに返っていく」。主体性を育む『ひかり保育園』(2/2)

子どもたちも保育者も、“自分のことは自分で決められる”環境づくりを目指す、兵庫県西宮市の『ひかり保育園』

前回の記事では、主体性を大事にした園の取り組みや、活動を進めるうえでの保育者の考え方などを、主任の髙橋あゆみ先生にお聞きしました。

だれもが「自分で考え、決められる」園を目指して。主体性を育む『ひかり保育園』(1/2)

ここからは、ひかり保育園として「主体的な行動」を促す一方で、他の部分での「余計な負担」が保育士や保護者にかかり過ぎないよう、現場の裏側で実践されていることを教えてもらいます。

保育士の働き方が、子どもに返っていく

子どもたちが心地よく生活できるために、ひかり保育園で大事にしていることの一つが、「保育士の働きやすさ」です。

例えば、「月1有給」の取り組み。限られた職員数とはいえ、工夫次第で月1回は交代で有給を取っても大丈夫そうだと確認でき、制度として導入したそうです。

髙橋「平日にしか行けないところや、週末と続けて休まないとできない旅行って、やっぱりありますよね。私も自分の子どもを連れて出かけたいところがあるし(笑)、それは他の職員もみんな同じです。

普段は行けない場所で、色んなものを見てくる経験は、保育士としての興味や関心の幅も広げてくれる。『絶対それ保育にも活かせるよ』と言いながら、みんなで積極的に機会をつくるようにしています」

『ひかり保育園』主任の髙橋あゆみ先生『ひかり保育園』主任の髙橋あゆみ先生

また、支援システムを導入してのICT化や、「そもそも業務時間で終わることしか計画しない」などの取り組みによって、なるべく残業をせずに済むようにしているともいいます。

髙橋「残業が一切ダメってわけではないんですが、仮に30分残るとしても、『自分のやりたいことをどうしても最後までしたい』という理由と、『やらなければいけない仕事が終わってない』や『先輩がまだ帰らないから何となく』などの理由とでは、全然モチベーションも違いますよね。

保育士が自分の働き方についてもきちんと“自分で考えている”こと、そもそも無駄な残業がないよう工夫することが、何より大事だと思っています」

保育士の働き方が、子どもに返っていく

髙橋「職員自身が、プライベートを充実させながら仕事をしていくことは、やっぱり大前提なのかなと考えていて。休みもなくて、仕事も残業も多くて疲弊していたら、誰だって自分以外のことなんか考えられないですよね。

保育士が生き生きと働くことが、結局は子どもたちに返っていくんです。そして、それはもちろん保護者も一緒かなと思っています」

お願いする負担が「子どものためか」を考える

職員の方のなかには、自分も子育てをしながら、子どもを保育園に通わせて働く人もたくさんいます。

保育士も保護者と同じ状況にいるからこそ、ひかり保育園では「保護者の負担もなるべく減らしてあげたい」と考えているそう。

特に今、園として取り組んでいるのが準備物の見直しです。保護者にお願いするものがたくさんあるなかで、「それが園の都合なのか、子どもたちの生活で大事だからしてもらうのかを考えているんです」と髙橋先生は話します。

髙橋「個人の着替えを持って来てもらったり、重要なことを連絡帳でお知らせしてもらったりするのは、子どもたちにとって必要なことなのでお願いをします。でも、例えば食事に使うエプロンやお手拭きタオルって、実は園で揃えても問題はありません。

わざわざセットを作ってもらうのも大変だし、保護者が持たせ忘れてしまう可能性や、そのとき保育士が対応する手間などを考えると、いっそこちらで用意しておく方がお互い楽な面もある。きちんと園で揃えておいた方が、子どもたちに一番不利益がないんですね」

お願いする負担が「子どものためか」を考える

もちろん、洗濯する職員の手間、相応のセット数を準備する費用も含めての判断ですが、それでも「運営の大きな負担にはなっていない」といいます。

また、エプロンやタオルと同様に昨年からはオムツについても、『手ぶら登園サービス』を使って保護者の持参をなくす試みをしているそうです。

髙橋「自分も1人の親として、毎日10枚ぐらいオムツに名前を書いて行ってたんですけど、やっぱり大変だなと感じていて。一定の金額を払うことで、その苦労がなくなるんだったらいいなと思って、ちょっと試験的にやってみたんです。

保護者からも賛同を得られていますし、職員としても不足や取り間違えの心配がなくなったので、継続できたらなと考えています」

オムツ保管場所

髙橋「あとは、『そもそも必要かな?』という視点も持つようにしていますね。

一つの例で言うと、お昼寝のときのパジャマ。災害を想定した際に、お昼寝中だとパジャマで全員を避難させないといけない、と気づいたのがきっかけなんですが、『何でパジャマなんだっけ?』とみんなで考えても、誰も答えられなかったんですよ。

もちろん着替えという行為には、虐待の早期発見など安全確認の役割もあります。でも、わざわざパジャマを用意してもらう理由は特になくて、開園当初から何となくやってるだけだった。

それを普通の服に着替えるよう変えたところ、保護者から『パジャマの洗濯が楽になって助かった』という声をいただいて、ああやっぱり負担だったんだなと、改めて気づかされました」

だれもが提案ができる環境づくりを

子どもたちが生き生きと育っていくためにも、保育士や保護者の負担をなるべく減らそうとする、ひかり保育園の取り組み。

ただ、その一つひとつは決して大きいものではなく、「ちょこちょこと、小さいことをひたすら変え続けているだけです」と、髙橋先生は笑って話します。

髙橋「もうその都度、短かったら1ヶ月単位とかで変えたりもしますよ。保護者とのちょっとした言葉にもヒントはたくさんありますから、『こんな話があったけど、改善できるかも』というものがあったらまずやってみる。それをまた改善していくので、数ヶ月したら全然違うことをしている場合もあります(笑)。

もちろん、『主体性を育む』という保育の大事なところは変わりません。けれど、職員の体制はどうしても毎年変わりますし、入ってくる子どもたちも変わっていく。家庭環境がどんどん多様になって、保護者へ一律に何かをお願いすることも難しくなっていくなかで、園としてどんな寄り添いが必要なのかは、考え続けないといけないなと思うんです」

だれもが提案ができる環境づくりを

「こうしたらどうかな」という細かな改善には、これまでは主任の髙橋先生が最初の意見を出すことも多かったそうですが、最近は少しずつ若い職員の方からも提案が出てくるようになってきたといいます。

髙橋「否定されずに、安心して『意見出してもいいかな』って思えるのがいい職場だと思うので、そこの環境づくりも進めたいですね。実際は『私も思ってましたけど、それって変えていいんですか』と言われることもまだあるので、もっと私からも『え、全然いいよ』って伝えないといけないなって思います」

“自分のやりたいこと”を“自分で決められる”、そんな子どもの姿を描くひかり保育園。

「主体性」というキーワードが、「子どもたちへの向き合い方」から「保育士自身の働き方」まで大きくつながっていることが、お話の端々から感じられました。

髙橋「もちろん、今の園のままで満足するのも悪くない。けれど、みんなが過ごすところを『どんどんいいように変えていきたいな』って思う気持ちは、やっぱり大事だと感じていて。

それを一つひとつ自分で考え続けることが、結局はいい環境づくりってことなのかな、と思っていますね」

だれもが提案ができる環境づくりを

(取材・執筆/佐々木将史)

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