保育士の配置基準とは?自治体や施設ごとの基準や計算方法も解説

クラス担任の保育士の人数は、配置基準によって決められています。
たとえば、0歳児15人クラスの場合、保育士は最低5人必要です。
こうした子どもに対する保育士の人数基準を示したものを配置基準と呼びます。
今回は、保育園を運営するにあたり欠かせない保育士の配置基準について、詳しく解説していきます。
目次
保育士の配置基準とは
保育士の配置基準とは、保育士1人あたりで何人の子どもを保育できるか、を示した基準です。
配置基準は厚生労働省の「児童福祉施設最低基準」によって定められており、保育園を運営するにあたり守らなければなりません。
「配置基準=最低限必要な保育士の人数」を表しているので、子どもの健康・安全のためにも、最低基準以上の保育士を配置することが重要だといえるでしょう。
配置基準では「保育士を常時2名以上配置すること」も原則となっているため、たとえ子どもが1人の場合でも、保育士は1人で保育を行うことはできません。
保育士の配置基準は国・地方自治体によって異なる
保育士の配置基準は国で定められていますが、自治体や施設によっても異なってくることがあります。
それぞれ、みていきましょう。
国が定める配置基準
国の配置基準は、次のように定められています。
0歳児 | 保育士1人に対して子ども3人 |
1歳児 | 保育士1人に対して子ども6人 |
2歳児 | 保育士1人に対して子ども6人 |
3歳児 | 保育士1人に対して子ども20人 |
4歳以上児 | 保育士1人に対して子ども30人 |
乳児期は保育士の援助が必要な場面が増えるため、保育士1人あたりの保育できる子どもの人数は少なくなります。
自治体が定める配置基準
自治体は、国が定めた基準を満たした状態であれば、独自の配置基準を設定することができます。たとえば、質の高い保育を提供するために、保育士1人あたりの子どもの人数を減らすなどです。
1人あたりの子どもの人数を減らすことで、保育士の負担が軽減され、より子どもと向き合って保育を行えるようになりますね。
自治体が定める配置基準は、各都道府県・市町村によっても異なるため、人数計算する際は、地域の配置基準をチェックしましょう。
施設別の配置基準
国や自治体のほか、施設によっても配置基準は異なります。
幼保連携型認定こども園、認可外保育園、地域型保育事業それぞれ解説していきます。
幼保連携型認定こども園
幼保連携型認定こども園とは、未就学児を対象に養護と教育を一貫して行う施設です。
内閣府「子ども・子育て新制度ハンドブック」では、次のように配置基準が定められています。
0歳児 | 保育士1人に対して子ども3人 |
1・2歳児 | 保育士1人に対して子ども6人 |
3歳児 | 保育士1人に対して子ども20人 |
4・5歳児 | 保育士1人に対して子ども30人 |
ただし、ゆとりをもった質の高い保育が行えるよう、配置改善を行う保育園が増えてきています。
【一例】
- 1歳児子ども6人に対して保育士1人→子ども5人に対して保育士1人にする
- 3歳児子ども20人に対して保育士1人→子ども15人に対して保育士1人にする
- 担任+フリーとして動ける保育士を配置する
子どもに丁寧な保育を提供するために、こうした配置改善の取り組みは今後も重要になってくるといえるでしょう。
認可外保育園
認可外保育園とは、国の認可基準は満たしていないものの、各都道府県の基準は満たし知事からの認可を受けている施設です。
配置基準においても、認可保育園に比べて緩やかに設定されています。
内閣府「認可外保育施設の質の確保・向上について」で定められている基準は、以下の通り。
11時間以内の保育の場合 | 認可保育園・幼保連携型認定こども園と同様の配置基準 |
11時間を超える保育の場合 | 現に保育されている児童が1人の場合を除いて、常時2人以上 |
また、職員の3分の1以上は保育士または看護師の資格を有していることが原則となっています。
地域型保育事業
地域型保育事業は、さらに4つの事業にわけられます。
- 小規模保育事業
- 家庭的保育事業
- 事業内保育事業
- 居宅訪問型保育事業
それぞれ表にまとめました。
小規模保育【A型:定員6~19名以下】
A型とは、保育所分園やミニ保育園に近い形態の保育です。
配置基準は次の通り。
0歳児 | 保育士1人に対して子ども3人 |
1・2歳児 | 保育士1人に対して子ども6人 |
ただし、保育所の配置基準+保育士1人となるので注意が必要です。
職員全員が保育士資格を有していることが原則となっています。
小規模保育【B型:定員6~19名以下】
B型とは、A型とC型の中間型の保育です。
配置基準はA型と同様ですが、全体の職員の2分の1以上が保育士資格を所有していることが原則となり、保健師や看護師を保育士とみなす特例も定められています。
小規模保育【C型:定員6~10名以下】
C型とは、家庭的保育です。
配置基準は以下のようになります。
0~2歳 | 子ども3人につき1人家庭的保育補助者とともに行う場合は、子ども5人につき、あわせて2人 |
家庭的保育事業【定員5名以下】
家庭的保育事業とは、自宅や他の場所で少人数の子どもに保育を行うことです。
配置基準は、小規模保育C型と同様の基準が定められていますが、定員は5人以下なので間違わないようにしましょう。
事業所内保育事業
事業所内保育事業とは、会社の事業所の保育施設などで、従業員の子どもと地域の子どもを一緒に保育する施設です。
配置基準は、子どもが20人以上なら国が定めた基準と同様に、子どもが19人以下なら小規模保育A型・B型と同様となります。
子どもの人数 | 配置基準 | |
0~2歳児 | 19人以下 | 小規模保育A型・B型と同様 |
0~2歳児 | 20人以上 | 国が定めた基準と同様 |
居宅訪問型保育事業
居宅訪問型保育事業とは、障がいや疾患などで個別にケアが必要な場合や施設がない地域等で保育が必要な子どもに対し、保護者の自宅でマンツーマンで保育を行うことです。
ベビーシッターをイメージするとわかりやすいかもしれません。
配置基準は、0~2歳児1人に対して1人です。
保育士または、保育士と同等以上の知識や技術があると市町村から認められた人とされています。
保育士の配置基準の計算方法
実際、保育園には、どのくらいの保育士が必要なのでしょうか。
また、どのようにして保育士の人数を計算しているのでしょうか。
この章では、配置基準の計算方法の流れを紹介します。
各クラスの定員人数を決める
配置基準を計算する際、各クラスの定員人数は重要になります。
定員人数を想定していきましょう。
今回は、以下のように仮定してみます。
- 0歳児…9人
- 1歳児…12人
- 2歳児…18人
- 3歳児…20人
- 4歳児…30人
- 5歳児…30人
定員119名の認可保育園を設定します。
定員を設定基準で割る
上記で想定した定員を基準で割り、必要な保育士の人数を算出していきましょう。
ここでは、国が定めた配置基準をもとに計算します。
(小数点以下が発生した際は、小数点以下を四捨五入して計算)
- 0歳児9人÷3=保育士3人
- 1歳児12人÷6=保育士2人
- 2歳児18人÷6=保育士3人
- 3歳児20人÷20=保育士1人
- 4歳児30人÷30=保育士1人
- 5歳児30人÷30=保育士1人
計算により、各クラスに必要な保育士の人数や定員119名の園全体では、最低11人の保育士が必要だとわかります。
延長保育などに必要な保育士の人数を加算する
計算結果で出た「最低11人の保育士」は、あくまでも日中に必要な保育士の人数です。
したがって早朝・夕方の延長保育時なども考慮しなければなりません。加えて、保育園に子どもがいる時間には常に2人以上の保育士が必要という原則があります。
これらを踏まえると、実際に11人の保育士でシフトをまわすことは困難です。人数を計算する際には、日中の保育士+朝・夕に必要な保育士の人数も加算し、多めの保育士を確保しておくようにしましょう。
保育士の配置基準は緩和してきている
これまで配置基準は昭和23年に定められて以来、70年間変わらずに進められてきました。しかし、待機児童問題の解消を目指すため、平成28年4月から緊急的な対応として基準が緩和されました。
3つの特例を紹介します。
朝夕の子どもが少ない時間帯での配置
これまでは、最低でも保育士2人を常時配置していましたが、朝夕の子どもが少ない時間帯は、保育士2人のうち1人は子育て支援員研修を修了した人でも代替可能となりました。
子育て支援員は、保育や子育ての知識が最低限ある人が対象で、自治体の研修を修了することで資格を取得できます。
幼稚園教諭や小学校教諭の活用
幼稚園教諭・小学校教諭・養護教諭も子どもと関わる仕事であるため、配置基準を満たす職員としてカウントされるようになりました。
ただし幼稚園教諭は3歳児以上・小学校教諭は5歳児以上といった条件があり、研修などの受講が求められています。
8時間以上開所の際は子育て支援員の代替可能
朝夕の延長保育を行うと、必然的に開所時間は8時間を超えます。その際には、日中に必要な配置人数に加え、保育士を追加する必要がでてきます。
そうした時、最低基準を上回って必要な保育士を子育て支援員に代わることができる特例です。たとえば、保育士の最低基準が15人のケースでは、追加で必要となる3人については子育て支援員でも代替可能となります。
まとめ
配置基準が緩和されてきていますが、配置基準ギリギリで運営している保育園も多数あり、保育士の負担はまだまだ大きいのが現状です。
しかしその中でも、保育の質は下げたくないもの。子どもの安心・安全・健やかな育ちのために質の良い保育の確保を目指していきたいですね。
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