石川県かほく市での手ぶら登園導入事例〜ICTと連携し、公立保育施設全8園に導入〜

近年、子育て世帯の人口が増えている石川県かほく市。施設の整備から家庭への補助までさまざまな支援を行い、移住者を多く受け入れています。
そんな同市が、「保育の質」を高めるべく新たに取り入れたのは、おむつのサブスクリプションサービス。2022年4月から2か月間の無料体験をしたのち、市内にある全ての公立保育施設(8園)にBABYJOBの『手ぶら登園』を本格導入しました。
導入の決め手や実施後の反応について、子育て支援課の中田さんと澤野さん、木越さんに伺いました。
かほく市の子育て支援施策について、特徴的な取り組みを教えてください。

市内の子育て世帯の人口増加が著しいなかで、「暮らしやすいまちづくり」に積極的に取り組んでいます。
たとえば北陸は降雪量が多いので、どんな天候のときでも子どもが遊べる屋内の場所を確保しようと、「あそびの森 かほっくる」を2021年4月にオープンしました。遊びを通じた子どもたちの健康づくりや、ここで出会う人たちの交流を促進できるよう考えながら施設を整備しています。
また、子育て世帯のみに関係する施策だけでなく、さまざまな方に使っていただけるような「住宅に関連する補助制度」なども用意しています。
そして、移住してくれた子育て世帯の満足度を上げ、長く住んでいただくための「保育の質」向上も強く意識しています。
具体的には、出欠席等の連絡がオンラインでできる『CoDMON(コドモン)』や、カバーを持ち帰るだけですむ午睡用ベッド(コットベッド)を、すべての公立保育施設に導入してきました。
保育士や保護者の負担を軽減することが、「保育の質」向上の1つのポイントになると考えています。
『手ぶら登園』をどのように知りましたか?

『手ぶら登園』を含む紙おむつのサブスクリプションについては、インターネットや自治体のニュースなどで取り上げられているのを見て、以前からなんとなく知っていました。面白い取り組みですし、保護者の負担が減りそうだと思っていました。
ただ、「おむつのサブスク」という仕組みが当時のかほく市の公立保育施設や子育て世帯の実情に合うものなのかは、疑問がありました。正直、あまり需要がないんじゃないかとも想像していて、すぐに導入を検討するには至っていませんでした。
『手ぶら登園』導入の決め手は何でしたか?
かほく市が2021年に導入した『CoDMON』とシステム連携されていたのが、1つの決め手となりました。すでに利用しているサービスの一環として導入すれば、保護者の理解も得やすく、トータルコーディネートとしてもよりよいものになるのではないかと考えたんです。
『CoDMON』を介して、保護者がBABYJOBさんと契約などのやりとりを直接できるので、導入もスムーズに進みそうだと感じました。
「公立の保育施設におむつのサブスクを導入したい」という提案は、2021年度の秋頃から行いました。すると、副市長がとても積極的に導入を後押しし、他の職員や市長も「いいサービスなら」と。特に市に費用の負担がかからない点が、前向きに検討する上で、大きな要因だったと思います。
各施設に案内するにあたり、ハードルを感じた部分はありますか?
『手ぶら登園』の導入により、どのような業務の変化が起きるかわからなかった最初の頃は、「保育現場の負担が増えるのでは」という懸念や、「保護者に浸透するだろうか」という不安がありました。

ただ、全園長を対象にBABYJOBさんが開いてくれたオンライン説明会によって、現場のサービスへの印象はかなりポジティブになったようでした。また、いただいたパンフレットに掲載されていた、写真付きの保管事例などで、実施するときのイメージをしやすかったと聞いています。
導入準備そのものは、事前に想像していた通り『CoDMON』を使って円滑に進められました。手続きも意外と簡単だったので、検討開始から半年後の、新入園児が入る2022年4月には本格導入に踏み切ることができました。
導入後の保育士の反応を教えてください。
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これまでのおむつ管理方法をベースに運用したことも関係しているかもしれませんが、当初は抵抗を感じていた職員からも「実際にやってみたら、思っていたほど負担ではなかった」という声が上がりました。
これは加入率も関係していると思うので、今後『手ぶら登園』利用家庭の比率が高くなったらどうなるかという点を、注意して見ていきたいと考えています。
毎月定額でおむつやおしりふきが使い放題なので、少しおむつが汚れたときにも気兼ねなく交換できるのはありがたいです。保護者からの「使いすぎ」という指摘を受ける心配がありませんし、子どもにとってもすごくいいことですしね。
園によって、一度に5箱以上注文するという方式が、保管場所の関係でネックになっているところはあるようです。一方で、子どもの成長に応じて保育士が自由にサイズ変更できるのは利点だ、という話も聞いています。
保護者の反応はいかがでしたか?

入園説明会のときに『手ぶら登園』を紹介したこともあり、新入園児の利用率が比較的高くなっています。実際に「荷物が減るし便利やわ」という声もあります。
とくに双子やきょうだいがいて、荷物が多くなってしまいがちなご家庭に好評ですね。スマートフォンで登録が完了する点も、使いやすいと好評です。
ただし、在園児のご家庭だと「特売日に好きなメーカーのおむつを買いだめして、一気に名前を書き、車に乗せておく」までがすでにルーティン化している方も多いようです。そういった保護者の中には、正直なところ割高に感じてしまうという理由で、利用していない方もいます。
今後は「かほく市の公立園は『手ぶら登園』を活用するスタイル」と認識を広めるなかで、新入園児の利用率の変化を見ていくことになるのではないかと考えています。各家庭が途中からでも始めたり辞めたりできる良さがあるからこそ、加入者や離脱者の通知がよりわかりやすくなったら嬉しいですね。
『手ぶら登園』導入で、期待していることを教えてください。
やはり、保護者の利便性が向上することを第一に期待しています。それと同時に、日々忙しいなかで仕事をしている保育士の負担軽減もはかりたいですね。
『手ぶら登園』の利用によって、保護者と保育士どちらのニーズも満たせたらと考えています。
まとめ
「保育の質」を考え、保護者と保育士の負担軽減のため『手ぶら登園』を導入したかほく市。保育施設やご家庭にすでに馴染んだ方法も残す形で、サービスをご活用いただいている様子がうかがえました。
各地域や保育施設のスタイルに合わせながら、柔軟に利用ができるのも『手ぶら登園』の特徴です。関わる人たちの負担をより軽減するために、ぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
(構成:佐々木優樹)
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