手ぶら登園保育コラム

保育園の運営に役立つ情報を発信

『あたらしい保育イニシアチブ2023』イベントレポート。多彩な登壇者で保育のビジョンを語り合う

あたらしい保育イニシアチブ2023

2023年9月10日、保育分野の未来を切り拓くイベント「あたらしい保育イニシアチブ2023」が東京大学で開催され、保育に携わる多くの関係者から注目の的となりました。内閣府特命担当大臣の小倉將信氏や、玉川大学の大豆生田啓友先生など、著名な講演者たちが一堂に集結し、今後の保育に関するビジョンが熱心に語り合われました。本コラムでは、このイベントで議論されたセッションをご紹介いたします。

あたらしい保育イニシアチブとは

「あたらしい保育イニシアチブ」は、保育関係者が既存の制度や事業にとらわれず、未来の保育ビジョンを共に描き、喜び合い、議論する場を作っている団体です。
あたらしい保育イニシアチブHP:https://hoiku-initiative.jp

昨年に続き、東京大学で行われた「あたらしい保育イニシアティブイベント」には、1000名弱の保育関係者が参加し、その高い関心が感じられました。今回は、このイベント内で行われた1つのセッションに焦点を当ててご紹介いたします。

鈴木亜美と見る未来の子育て – 専門家と一緒に探るパラダイム

このセッションは、3人の子どもを育てる歌手でタレントの鈴木亜美さんが登壇した「鈴木亜美と見る未来の子育て – 専門家と一緒に探るパラダイム」です。鈴木さんのリアルな子育て経験を共有し、保育の専門家である東京大学の准教授、野澤祥子先生が今後の保育の在り方についての考えを話しました。

3児の母が語るリアルな子育て事情

鈴木さん:現在1歳・3歳・6歳の子育てをしています。最近は、小学1年生の長男の宿題を毎日チェックしないといけないので、なかなか大変だなと思ってます。また、3歳の次男と1歳の長女が別々の保育施設に通っているので、お迎えは2か所に行かないといけないので少し大変です。どうしても仕事の都合でお迎えに行けないときは、近くに住んでいる夫のお母さんにお願いをしています。

今日のイベント中は、夫が3人の子どもを家で見てくれています。コロナ禍のときにお家にいる時間が長かったので、そのときに夫の子育てスキルが向上し、協力してくれるようになりましたね。

野澤先生:私たちが行っている調査にもあるのですが、1人目の子育てが大変だと思ってしまうと2人目を考えるのが難しい。やはり誰か助けてくれる人がいないと難しいというのがあるのですが、鈴木さんはいかがですか?

鈴木さん:1人目のときは大変でした。お母さんになったらお母さんが全部できなきゃいけないという勝手な先入観だったり、人に頼るとだめなお母さんだと思ってしまったり…。本当に苦しくて辛くて。

でも、子どもが大きくなって友達と遊んでいる様子を見て、きょうだいがほしいな、と思うようになりました。ママ友たちにも人を頼ったほうがいいよ、とアドバイスを受けていたので、そのあたりから人を頼るようになりました。そしたらすごく気持ちが楽になりました。

野澤先生:私も人に頼りながら子育てをしてきました。これはとても自然なことだと考えています。赤ちゃんは無力な存在として生まれてくるので、人間の歴史の中でも協力しあって子育てをしてきている。それこそが人間の進化を促してきたとも言われているので、むしろ母親だけが子育ての負担を抱えるほうが不自然。

ただ、今は逆転してしまっている状況があると思ってます。親戚や保育施設など、どのように周りからのサポートを受けていくかが大事ですね。

デジタル化が進む保育施設

上野さん:長男を保育施設に預けてから5年ほど経ったと思います。今と昔で何か保育施設の変化を感じますか?

鈴木さん:上の子を保育施設に預けていたときと比べると、デジタル化が進んだことを一番感じます。先生とのやりとりや体温の報告、園からのお知らせをもらうのもアプリになってます。なので早いし楽になりましたね。あと、お迎えが遅れるとかの連絡もLINEになってたりするので、とても気持ちが楽ですね。

野澤先生:コロナによる影響で悪い面もあるが、良い面もあったと思います。コロナ禍だと保育士の研修がオンラインでしかできなかったので、補助金等を使って園のICT環境が進んだという調査結果もでています。保護者と保育士との連絡がICTになったものもあれば、子どもと使っていくICTというものもあります。

3児の母が求める保育施設の今後

上野さん:鈴木さん、保育施設がこんな風になっていけば良いのに、と思うことはありますか?

鈴木さん:先日のニュースで、荷物を持っていかずに登園ができる仕組みがあることを知りました。保育施設側で全て準備をしてくれるので、物がなくなったり、忘れ物をしたりする心配もない。しかも、保育施設の先生たちもその方が管理の手間なく時短にもなるというのを聞いて、これが広がっていったら親としてはすごくありがたい!と思いますね。

今の園は全部自分たちで持ってきているのですが、持ち帰るときに別の子の物が入っていたり、荷物がなくなっちゃったり…。あと、金曜日は荷物が多くて両手が塞がっているのに、次男が「手つないで!」って言ってくることもあるので、正直大変です。

野澤先生:親戚が近くにいないケースで子どもを3人目、4人目と期待するのであれば、物理的なサポートをしていくということも今後の方向性としてありなのかなと思っています。物理的な苦労をかけることが子どもに手をかけるということではないと思うので、その空いた分子どもに気持ちが向くのであれば良いと思います。

保護者と保育士の信頼関係を持ち、
パートナーシップの考え方で子どもを共に育てていく

上野さん:野澤先生、保護者と保育士はどんな関係性になっていくのがいいのでしょうか?

野澤先生:保育所保育指針でも強調されていますが、「保育士は保護者を支援する役割」と記されており、これ自体はとても大事だと思っています。ただそれだけでなく、パートナーシップという考え方で共に育てるのが大事。その子自身の専門家は親だし、保育の専門家は保育士。お互いに知識や知恵を共有しあいながら、リスペクトしあって一緒に子育てしていきましょう、という考え方です。あとはやはり、保護者と保育士の信頼関係が大事ですね。

また、教育現場としては、色んな事が話し合える環境にしておくことが大事です。それが虐待等の早期発見にもつながっていきます。

【登壇者】
・歌手、タレント 鈴木 亜美氏
・東京大学 准教授 野澤 祥子氏
・BABY JOB株式会社 代表取締役社長 全国小規模保育協議会理事長 上野 公嗣氏

まとめ

タレントとして煌びやかな世界にいる鈴木亜美さんが、等身大の一人の母として、子育てに真摯に向き合って、苦労や喜びを感じていらっしゃる姿が印象的でした。誰しもはじめて親になり、子育てをしていくのは大変なこと。母親だけで子育てをしていくのではなく、保護者と保育士あるいは周囲の人と、パートナーシップを築き、お互いの知識と経験を共有しながら子どもを育てていける環境にしていくことの大切さを再認識したセッションになりました。

おむつの管理が楽になる手ぶら登園

手ぶら登園

おむつのサブスク手ぶら登園( https://tebura-touen.com/facility )とは、保護者も保育士も嬉しいおむつの定額サービスです。手ぶら登園は、2020年日本サブスクリプションビジネス大賞を受賞し、今では導入施設数が1,000施設(2021年6月時点)を突破しています。

保育園に直接おむつが届くため、保護者はおむつを持ってくる必要がなくなり、保育士は園児ごとにおむつ管理をする必要がなくなります。

>>手ぶら登園資料ダウンロードはこちら

手ぶら登園公式LINE