保育指導案はどう書く?種類や書き方のポイントまで紹介
保育をするにあたり、必ず必要になる「指導案」は、すべて保育士が作成しています。
年間、月間、週間、日間と種類も多く、正直大変な部分でもありますが「子どもにどう育ってほしいか」の目標を明確にする重要な書類です。
今回は、指導案のねらいや作る際のポイントについて解説します。
保育指導案とは?
保育指導案とは、ねらいや内容を設定し、子どもの保育活動を明確化した指導案のことです。
子どもの育ちを見通すうえでも重要な書類であり、その必要性は「保育所保育指針」でも記載されています。
保育所は、全体的な計画に基づき、具体的な保育が適切に展開されるよう、子どもの生活や 発達を見通した長期的な指導計画と、それに関連しながら、より具体的な子どもの日々の生活 に即した短期的な指導計画を作成しなければならない。
引用:厚生労働省|保育所保育指針
長期的・短期的な計画の内訳は以下の通りです。
【長期的な計画】
- 年間計画
- 月案
【短期的な計画】
- 週案
- 日案
保育を行ううえで、どの指導案も重要です。
フォーマットは園によって異なりますが、おおまかなねらいや内容は変わりません。
保育指針や園の理念に沿って作成しましょう。
保育指導案の種類
保育指導案には「年間計画」「月案」「週案」「日案」の4種類があります。
順番にみていきましょう。
年間計画
年間計画とは、1年を通して育ってほしい子どもの発達を目標にした計画案のことです。
4月~翌年3月までの行事の把握や季節に合わせた活動が明確にできるので、全体の見通しがもてます。
年間計画は、おもに各学年のリーダーや主任が作成することが多いです。
月案
月ごとの目標を決める指導案です。
クラス全体でどうしていくか、年間計画をもとに具体的な1か月の見通しを立てていきます。
季節ならではの行事などは月案にねらいとして取り入れている園が多いでしょう。
週案
月案をもとにして、さらに具体的に1週間の見通しを立てる指導案です。
月案のねらいを達成するためには、4週間または5週間かけてどのように進めていくとよいかを考えながら、作成していきます。
継続的な設定をすることがポイントです。
日案
その日1日の保育計画を立てる指導案です。
どのような活動をするのか、何時から始めるのかなど、具体的な内容にしていきます。
日案は時系列で記載する特徴をもっています。
その他、子ども一人ひとりに対して「発達のねらい」を書く書類も存在しますが、指導案ではなく「発達の記録」「個人記録」に分類されます。
保育指導案のねらいと内容
保育指導案では「ねらい」を明確にすることが重要になります。
ねらいを設定してから、内容を作成していきましょう。
ねらい
ねらいとは、その年度、月間、週間、日間において、子ども達に育ってほしい発達や態度、心情を言語化したものです。
そのため、クラスごと・年齢ごと・一人ひとりによってもねらいは変わってきます。
一例を挙げてみます。
- 保育者と信頼関係を築き、安心して過ごす
- 季節ならではのプール遊びを楽しむ
- 社会のルールを守って遊ぶことを知る
- 〇歳児になった自覚をもち、下級生とも仲良くする
- 自分で身の回りのことをしようとする
子どもたちの様子やクラスの雰囲気などから、まずは「ねらい」を考えてみましょう。
内容
内容は、ねらいを達成するための具体的な保育内容です。
活動内容のほか、保育者がとるべき行動や援助していく事柄、子どもの姿も含まれます。
たとえば「保育者と信頼関係を築き、安心して過ごす」というねらいを設定したとしましょう。
この場合の内容は、下記のようになります。
【内容の一例】
- 保育者とのふれあい遊びを楽しむ
- 保育者に抱かれることで安心し、気持ちよく生活する
安心したり信頼関係を築いたりするには、スキンシップは欠かせません。
ふれあいを通じて安心感・信頼感を築いていくという関連性があります。
内容を書くにあたり大切なことは、ねらいとの関係です。
ねらいを実現するために、どのような活動を行えばよいか、子どもにどうなってほしいかなどを想像してみましょう。
指導案は保育士間同士の価値観を合わせるための、よりどころとなる場合も。
記載したあとは、クラス担任で共有すると、日々の保育もスムーズにいきやすくなります。
保育指導案の書き方
保育指導案は、各園によってフォーマットが異なります。
しかし、ねらい・内容・子どもの姿・保育者の援助などの項目は、ほぼ同じです。
具体的に書き方をみていきましょう。
年間計画
年間計画は、4月~翌年3月までの1年間を4期にわけて記載します。
テンプレート引用元:保育のお仕事レポート|年間計画
年間計画を立てる際は、園の行事や方針も考慮することが必要です。
たとえば、運動会や表現会、夏祭りやもちつき会などのイベントを記入し、全体の流れを把握しましょう。
予想される子どもの活動欄には、子どもたちが行動するであろう姿を記載します。
【例】
- 友達に興味をもち、関わって遊ぼうとする
- 身の回りのことを自分でしようとする
保護者の援助欄には、子どもがねらいを達成するために保育者が行うべき援助などを書きます。
【例】
- 積極的に散歩に行き、自然に興味をもてるようにする
- 子どもの気持ちに共感し、見守っていく
家庭や地域との連携欄には、保育者と家庭・保育者と地域のやり取りについてなどを記載します。
【例】
- 登園時など家庭との連絡を密にとり、信頼関係を築く
- 調整しやすい衣服を用意してもらう
月案
月案は、1か月後の子どもの育ちを想定して作成します。
テンプレート引用元:ほいく派遣コレクション|月案
月案を作成する際は、前月末の子どもの姿を考慮することが重要です。
ねらいや子どもの活動、保育者の援助などの基本の書き方は、年間計画と同様ですが、断片的にならないよう注意しましょう。
週案
週案では、月案や前週の子どもの姿をもとに作成します。
テンプレート引用元:保育のカタログ ウェブマガジン|週案
週案は、そのとき子どもたちが興味のある遊びによっても変わってきます。
また、曜日によって子どもの疲労感なども異なるので、その点も考慮が必要です。
前週とねらいが重複することも珍しくありません。
クラス担任同士で、今子どもが興味をもっている遊びについて話し合いながら進めると、お互いの価値観の相違もなく、クラス全体の運営もスムーズにいきやすいでしょう。
日案
日案は、その日の活動を時系列で細かく記載します。
テンプレート引用元:保育のカタログ ウェブマガジン|日案
週案をもとに、より具体的に作成しましょう。
月曜日~金曜日までの日案を通して、週案のねらいが達成できると理想です。
ただ、ねらいは必ず毎日変わるものではないため、重複しても問題ありません。
当日の日案の評価・反省を次の日に活かせるように作成していきましょう。
保育指導案の作り方のポイント
どの指導案を書くとしても、大事になってくるのが「日々の子どもの観察」と「共通認識」です。
それぞれ解説していきます。
日々の子どもの姿を観察する
子どもの今の発達状況や興味のあるもの・ことをよく観察しましょう。
子どもは興味のあることなら自主的にします。
たとえば「絵本を楽しそうに読んでいる友達の姿をみて、自分も同じように絵本コーナーへ向かう」
この行動は、興味がわいたから自発的に行われた行動です。
こうした自主的な気持ちを引きだすためにも、観察することが必要になります。
また、子どもの興味のある遊びを、より展開させていくことも重要なため、日々の子どもの姿を観察したり丁寧に関わることは、非常に重要なことだといえるでしょう。
担任同士で共通認識をもっておく
クラス担任同士で共通認識・方向性を決めておくのも大事です。
子どもも一人ひとり違いますが、保育者も同じ。一人ひとり価値観や指導方法は異なります。
たとえば、保育室内に家庭のシールを持ち込んだ子どもがいたとします。
「園では使えないから、カバンにいれておこうね」と諭す保育者もいれば「みんなで使って遊ぶ保育者」もいることでしょう。
こうした認識や方向性のズレは、お部屋や保育者間同士の雰囲気にも大きく関わってきます。
「〇〇先生はいいって言ったのに、△△先生はダメって言った」と子どもが戸惑う原因にもなりかねないので、共通認識をもち、方向性を同じにしておきましょう。
まとめ
保育指導案に正解はありません。
また詳細なねらいや内容も、年度によって・子どもの発達によっても異なってくるので、保育士同士が子ども達にどう育ってほしいかを指導案に反映させていくとクラス運営がしやすくなるでしょう。
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