手ぶら登園保育コラム

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保育における養護とは?ねらいや内容を解説

保育において養護は、子どもの生命の保持や情緒の安定を図るために欠かせない関わりです。一方で、教育とは、環境や活動により発達を援助していく関わりを指します。

養護と教育が一体となった保育を行うためには、子どもが安心して過ごせる環境づくりが大切です。今回は、養護のねらいや内容を解説します。

保育における「養護」とは

保育における養護とは、何を指すのでしょうか。保育所保育指針解説には、次のように明記されています。

保育における養護とは、子どもの生命の保持及び情緒の安定を図るために保育士等が行う援助や関わりであり、保育所における保育は、養護及び教育を一体的に行うことをその特性とするものである。保育所における保育全体を通じて、養護に関するねらい及び内容を踏まえた保育が展開されなければならない。

引用:厚生労働省|保育所保育指針解説

つまり、養護とは、子どもが心身ともに心地よいと感じる環境を整え、子ども自身が主体的に育つための援助を行うことを指します。乳幼児期には欠かせない要素です。

保育における「教育」とは

保育所保育指針解説では、「養護及び教育を一体的に行うことを特性とする」と明記されています。では、保育における教育とは、何を指すのでしょうか。

「教育」とは、子どもが健やかに成長し、その活動がより豊かに展開されるための発達の援助である。

引用:厚生労働省|保育所保育指針

つまり、子どもの感じる・気付く・探る・考えるといった興味や関心を引き出す援助のことです。

教育においては、五領域としてねらいと内容が定義づけられています。五領域は以下の通りです。

  • 健康
  • 人間関係
  • 環境
  • 言葉
  • 表現

養護と教育が一体となった保育を展開するには、養護がベースとなって教育を支えることが欠かせません。

保育における養護2項目

保育所保育指針では、養護をさらに「生命の保持」「情緒の安定」の2項目にわけ、それぞれにねらいと内容を定めています。順に見ていきましょう。

生命の保持

生命の保持は、眠い時に寝る・お腹が空いたらご飯を食べる・過ごしやすい環境を整えるなどの援助を行い、子どもが健康で安全に生活できるようにすることです。

【ねらい】

一人一人の子どもが、快適に生活できるようにする。一人一人の子どもが、健康で安全に過ごせるようにする。一人一人の子どもの生理的欲求が、十分に満たされるようにする。一人一人の子どもの健康増進が、積極的に図られるようにする。

【内容】

一人一人の子どもの平常の健康状態や発育及び発達状態を的確に把握し、異常を感じる場合は、速やかに適切に対応する。

家庭との連携を密にし、嘱託医等との連携を図りながら、子どもの疾病や事故防止に関する認識を深め、保健的で安全な保育環境の維持及び向上に努める。

清潔で安全な環境を整え、適切な援助や応答的な関わりを通して子どもの生理的欲求を満たしていく。また、家庭と協力しながら、子どもの発達過程等に応じた適切な生活のリズムがつくられていくようにする。

子どもの発達過程等に応じて、適度な運動と休息を取ることができるようにする。また、食事、排泄 、衣類の着脱、身の回りを清潔にすることなどについて、子どもが意欲的に生活できるよう適切に援助する。

【引用:厚生労働省|保育所保育指針解説

たとえば、以下のような項目は生活するうえで必要不可欠なことであり、大人になれば自然にできます。

  • 暑くなったら薄着になる
  • 汗をかいたら着替える
  • ご飯を自分で食べる
  • 鼻水がでたらティッシュで拭く
  • 排せつをしたくなったらトイレに行く

しかし、乳幼児期の子どもは自分では気付きません。保育士が配慮するだけでなく、子どもがこうした生活習慣を身につけられるよう援助することが、生命の保持の項目に入ります。

情緒の安定

情緒の安定は、抱きしめる・受け入れるなど、子どもが落ち着いて過ごせるような援助を行い、自己肯定感を抱けるようにすることです。

【ねらい】

一人一人の子どもが、安定感をもって過ごせるようにする。一人一人の子どもが、自分の気持ちを安心して表すことができるようにする。 一人一人の子どもが、周囲から主体として受け止められ、主体として育ち、自分を肯定する気持ちが育まれていくようにする。一人一人の子どもがくつろいで共に過ごし、心身の疲れが癒されるようにする。 

【内容】

一人一人の子どもの置かれている状態や発達過程などを的確に把握し、子どもの欲求を適切に満たしながら、応答的な触れ合いや言葉がけを行う。

一人一人の子どもの気持ちを受容し、共感しながら、子どもとの継続的な信頼関係を築いていく。 

保育士等との信頼関係を基盤に、一人一人の子どもが主体的に活動し、自発性や探索意欲などを高めるとともに、自分への自信をもつことができるよう成長の過程を見守り、適切に働きかける。

一人一人の子どもの生活のリズム、発達過程、保育時間などに応じて、活動内容のバランスや調和を図りながら、適切な食事や休息が取れるようにする。 

【引用:厚生労働省|保育所保育指針解説

たとえば、以下のような項目が情緒の安定に含まれます。

  • 子どもの気持ちを受け止める
  • ありのままの自分でいることを認める
  • 言葉にできない思いを感じ取る
  • うなづいたりスキンシップを取ったりする

怒ったり、喜んだり、悲しんだりといった感情を表し、認められることで子どもは安心感を得ます。大人でも、気持ちを受け入れてもらえると気持ちが満たされ落ち着きますね。

感情を抑えつけるのではなく、感情をコントロールできるようにするためにも、子どもの情緒の育ちを図ることは大切です。安心感や信頼感を得て、自己肯定感を抱けるように援助することが情緒の安定の項目に入ります。

保育に関するねらいと内容

保育に関するねらいと内容が子どもの年齢によって変わるのと同様に、求められる養護も年齢によって異なるものです。保育に関するねらいと内容から、それぞれの年齢で必要な養護について解説します。

乳児保育に関わるねらい及び内容

乳児保育に関わるねらいと内容は、次の3つの項目に分けられて提示されています。

  • 健やかに伸び伸びと育つ…健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力の基盤を培う。
  • 身近な人と気持ちが通じ合う…受容的・応答的な関わりの下で、何かを伝えようとする意欲や身近な大人との信頼関係を育て、人と関わる力の基盤を培う。
  • 身近なものと関わり感性が育つ…身近な環境に興味や好奇心をもって関わり、感じたことや考えたことを表現する力の基盤を培う。

【引用元:厚生労働省|保育所保育指針解説

乳児保育では、養護2項目の基盤を培うことが求められます。子どもの心身の機能が未熟であることや、生育の順序やスピードが一人ひとり違うことに留意し、養護を行うことが重要です。

1歳以上3歳未満の保育に関わるねらい及び内容

1歳以上3歳未満の保育に関わるねらいから、教育的部分五領域が含まれています。保育所保育指針に定義づけられている項目は、次の5つです。

  • 心身の健康に関する領域「健康」…健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。
  • 人との関わりに関する領域「人間関係」…他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。
  • 身近な環境との関わりに関する領域「環境」…周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。
  • 言葉の獲得に関する領域「言葉」…経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。
  • 感性と表現に関する領域「表現」…感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。

【引用元:厚生労働省|保育所保育指針解説

養護は教育のベースとなるため、教育の五領域が追加されても養護は重要です。子どもが自分でしようとする気持ちを大切にすることが、自我の育ちを助けることにつながります。

また、探索活動が十分に行えるよう、環境を整えて事故防止に努めることも欠かせません。

3歳以上児の保育に関するねらい及び内容

3歳以上児の保育に関わるねらいの項目は以下の通りです。

  •  心身の健康に関する領域「健康」…健康な心と体を育て、自ら健康で安全な生活をつくり出す力を養う。
  • 人との関わりに関する領域「人間関係」…他の人々と親しみ、支え合って生活するために、自立心を育て、人と関わる力を養う。
  • 身近な環境との関わりに関する領域「環境」…周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う。
  • 言葉の獲得に関する領域「言葉」…経験したことや考えたことなどを自分なりの言葉で表現し、相手の話す言葉を聞こうとする意欲や態度を育て、言葉に対する感覚や言葉で表現する力を養う。
  • 感性と表現に関する領域「表現」…感じたことや考えたことを自分なりに表現することを通して、豊かな感性や表現する力を養い、創造性を豊かにする。

【引用元:厚生労働省|保育所保育指針解説

周囲との接点が増える3歳以上児では、生命の保持はもちろん、情緒の安定の重要性が増します。身体的・生理的な成長に加えて、自主性や社会性が育つよう配慮することが大切です。

子どもが自分の言葉で感情や経験を表現できること、友達と一緒に行動することなどが達成できるよう、適切な配慮や対応が求められます。

とくに6歳児では、子どもたち同士の関係を大事にしながら、小学校へ円滑に接続することが必要です。

まとめ

今回は、保育における養護について解説しました。保育における養護は、子どもにとって非常に重要な部分です。

子どもの心が満たされて心身ともに健やかに育つためにも、養護は欠かせません。教育も必要ですが、養護面も重要視していきましょう。

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