手ぶら登園保育コラム

保育園の運営に役立つ情報を発信

清瀬市が公立全3園に手ぶら登園導入〜「どうすればできるか」の視点で懸念を解消〜

東京都清瀬市の公立保育園手ぶら登園事例

「子育てが楽しいと思えるまちづくり」を掲げ、子育て世帯の支援に積極的に取り組んでいる東京都清瀬市。保育施設に通う保護者の負担軽減のため、公立園では2019年から、使用済み紙おむつを園内で処理しています。

紙おむつの「廃棄」に続き、次は「持ち込み」もなくそうと、新たに導入したのがおむつのサブスクリプションサービス『手ぶら登園』です。2022年4月より、公立保育施設3園すべてで利用を開始しました(最初の2か月は無料)。

今回は、『手ぶら登園』導入の決め手や、新たなサービスを導入するときの考え方について、春から清瀬市長を務める澁谷桂司さん、同市子ども子育て担当部長の田村さん、子育て支援課長の山本さんに伺いました。

清瀬市の子育て施策の特徴を教えてください。

清瀬市は、政策の柱の1つに子育て支援を据えています。出産からお子さんが成人するまで「切れ目のない支援をしたい」という考えのもと、乳幼児健診や家庭への積極的な訪問、子育てに関する窓口の充実を行っています。

また、「清瀬市子育て・キラリ・クーポン券」と称して、市内のさまざまな子育てサービスに利用できるクーポン券や、商店街などで使える商品券を配布しています。市が運営するサービスだけでは行き届かない部分については、市内のさまざまな団体にご協力いただきながら、子育て環境の充実・支援に取り組んできました。

どのように『手ぶら登園』を知りましたか?

渋谷区など、先進自治体での導入事例がきっかけです。

清瀬市の公立保育施設では、使用済み紙おむつの園廃棄を2019年度から行っています。おむつの持ち帰りによる保護者の負担が問題になっていたため、市議会での提案を通じて実現させました。これに続けて、記名などの手間がかかっていた、持ち込みに関する負担も解消したいと考えていたんです。

そんなときに『手ぶら登園』の、渋谷区での導入事例を知りました。調査した結果、ぜひ清瀬市でも導入したいサービスだと考え、改めて市議会に提案し、今年4月からの導入に至りました。

『手ぶら登園』導入の決め手は何でしたか?

園に通う全家庭で一斉に加入する(もしくは加入しない)を選ぶのではなく、「必要な家庭だけが契約できる」という点が、一番魅力的でしたね。

また、保育施設向けICTツールの『CoDMON(コドモン)』とシステム連携している点もポイントでした。清瀬市では今後、公立園のICT化にも積極的に取り組みたいと考えており、実際に導入を進めていったときの継続のしやすさを考慮しました。

その一方で、実際におむつの取り扱いをすることになるのは保育施設側なので、現場職員の意見を聞くことも大切にしましたね。まずは私立園の園長会で、『手ぶら登園』について説明し感想を聞いたところ、導入を考えている園があることや、「こういうシステムを導入すると、みんな便利になるんだよね」などのポジティブな意見が上がってきました。

その後、公立園の園長会で「導入しようかと考えているが、現場としてはどう思うか」と尋ね、保育士間でも検討いただきました。その結果、「デメリットもあるかもしれないが、メリットのほうが大きいだろう」といった賛成意見をいただけたので、導入に向けて進めていきました。

導入を決める際に、なにか懸念点はありましたか?

いくつかありました。例えば、園児全員が加入しない場合、保育士の業務がむしろ増えてしまうのではないか。ドラッグストアで買うときよりも費用面が高くなってしまわないか。利用できるおむつの種類が限られてしまうので、そこが気になる家庭はないか……など。

しかし、清瀬市としては、できない理由よりも「どうやったらできるか」を探し、目の前の課題をスピーディーに解決していくことが重要だと考えています。先ほどあげたそれぞれの懸念についても具体的に検討していき、保育士の負担については、おむつ置き場の工夫をすることで十分に対応できそうだとわかりました。費用面についても、Amazonや近隣のドラッグストアの価格から単価を割り出したところ、遜色ないと感じました。

おむつの銘柄は「ムーニー」と「マミーポコ」に限られますが、どちらもよく知られたブランドで十分安心して保護者にご利用いただけるだろうと思い、すぐに始めて負担軽減につなげたいと考えました。初めてBABYJOBさん(『手ぶら登園』の運営会社)にご相談したのは2022年1月でしたが、3か月後の4月から導入できるよう迅速に手続きを進めていただきました。

保護者・保育士の反応を教えてください。

特にきょうだいで園に通われている保護者からは、「記名の手間がなくなり、非常に楽になった」という意見を聞いています。

保育士からは、「各家庭から持参されたおむつを取り違える心配がなくなった」「おむつが直接園に届いて使い放題なので、保護者に持参してもらい枚数を管理する手間が減った」などの話がありました。

また今回、最初の2か月はBABY JOBさんの負担で、無料で『手ぶら登園』をご利用いただけることになりました。そこで便利さを感じていただけたら、引き続き広くご利用いただけるのではないかと思っています。

よりよい保育環境のために、今考えていることがあればお聞かせください

前例にとらわれず、今回のように民間企業・団体に任せられる部分は任せていきたいですね。子育てには、人にしかできない部分が必ずある。そこに時間を割くためにも、新しい仕組みで解決できる部分には、利便性の高い先進的なシステムをどんどん導入していくべきだと考えています。

また、子育て環境の変化とともに、その悩みや苦労も時代によって変わるはずです。子育て経験者の話を踏まえつつ、「今まさに子育てをしている人たち」の意見をよく聞き、負担軽減に取り組むのが私たちの仕事だと思っています。

まとめ

「できない理由」ではなく「できる方法」を探して、『手ぶら登園』を公立園に導入した清瀬市。各当事者の意見を大切にしながら、子育て家庭の負担軽減のために民間団体と協力する姿勢がうかがえました。

子育てにまつわるさまざまな課題があるなか、その解消のために官民で連携する事例も増えてきています。保育現場の負担を減らすために、ぜひ一度『手ぶら登園』の利用もご検討いただけたら幸いです。

(構成:佐々木優樹)

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