手ぶら登園保育コラム

保育園の運営に役立つ情報を発信

高知県田野町公立園での手ぶら登園の導入事例 〜保護者の声から導入が決定〜

四国で1番小さい町、高知県田野町。「赤ちゃんから高齢者まで、障がいがあってもなくても、誰もが暮らしやすいまちづくり。」を目指して、子育て支援の取り組みを積極的に行っています。

今回、四国の公立認定こども園で初の取り組みになる、おむつの定額制サービス「手ぶら登園」を2022年4月から開始することになりました。また同時期に、使用済みの紙おむつを園で廃棄する仕組みに変更し、保護者・保育士の負担軽減に取り組んでいます。

同町の子育て支援の考え方、そして『手ぶら登園』導入の背景を、田野町長 常石 博髙さんに聞いていきます。

田野町の子育て支援施策について、特徴的な取り組みを教えてください。

私たちの町では、これまで保育所と幼稚園の運営を行ってきましたが、2022年4月1日から幼保連携型の認定こども園としてリニューアルを行います。

これまでの施設は津波浸水区域に位置していたので、課題点を抽出した上で、地震や津波災害に強い施設にし、園児・保護者・職員の命を守れるように事業を実施しています。

また、2021年4月からは公立保育所の保育料完全無償化を実施し、保育所・幼稚園問わず就学前の子どもは給食費を含めお金がかからないようにして、子育てしやすい環境の整備を行っています。

『手ぶら登園』導入のきっかけを教えてください。

認定こども園の入園説明会で、1名の保護者から「手ぶら登園」の話が出ました。それを受けて、保育所の職員間で話し合い、導入に向けて進めていくことになりました。

「手ぶら登園」は保護者の負担軽減だけでなく、現場で働く保育士の負担も軽減できることが非常に大きい点でした。例えばおむつの貸し借りなどの保育以外のことに関する保護者とのやりとりが負担になっていると聞いていましたので、保護者と保育士の双方の負担が減るということで、検討を始めました。

最初私がこのサービスを知ったときは、「便利な世の中になった」と思いました。一定のお金はかかるとしても、おむつを持って行ってまた持って帰る負担がなくなれば、保護者の負担はとても軽減されるかなと思いましたね。

『手ぶら登園』の導入にあたり、ハードルを感じた部分はありますか?

まずは現場の保育士と話し合いをしました。保育士が求めるサービスでないと導入は難しいと感じましたのでね。

保育士と最初に話をした際には、すごく興味を持って「どんなサービスなんだろう?」と前向きに聞いてくれていました。中には、すでに手ぶら登園を知ってる保育士もいました。話をしている中で、保育士側から明確な反対というのは特になかったですね。

2022年4月に田野幼稚園と田野保育所を統合しできた幼保連携型認定こども園「田野っ子」。教育と保育を一体的に提供するほか、子育て支援室、病後児保育室を併設した地域の子どもと子育て家庭への支援を行う。

同じタイミングで「使用済みおむつの持ち帰り」をなくした理由について教えてください。

「手ぶら登園」を導入するにあたり、保育所での使用済みおむつ廃棄方法を検討するようにしました。
これまでは、保護者にさまざまな形で情報を伝える一環として、便から体調確認をしてもらうために、使用済みおむつの持ち帰りを行っていました。

ただ今回新しく認定こども園になるタイミングで、町の子育て支援のあり方を再考し、おむつの処理を含め今まで保護者が担っていた部分を町が担えるよう新しい仕組み作りに取り組んでいます。

田野町もそうでしたが、使用済みおむつを保護者が持ち帰っている状況に対して、課題意識を持っている自治体は少ないように思います。自治体の規模によりますが、使用済みおむつは家庭で処分するか園で処分するかの違いはあれど、最終的には一般ごみになります。

誰が処分することが合理的か考えたら、園でまとめて処分するべきで、自治体がその仕組みを整える必要があるという答えになります。多くの自治体がその意識を持てば、全国の園でおむつの持ち帰りがなくなるのではないかと思っています。

園でおむつを廃棄するにあたって、ハードルはありましたか?

田野町では保健福祉部署がごみの収集事業を行っています。その部署と「保育所のおむつごみの袋を毎日回収することができるか」について協議を行いました。
調整できるか懸念はありましたが、実際は協議がスムーズに進んで、特にハードルもありませんでした。結果、月・火・木・金でごみを回収することになりました。

現場の保育士が保育の環境を把握し、常に改善をしていく策を実施していくのが本来の姿だと思ってます。私は、それに対して方向を見誤らないように修正をしていくべき立場だと思っています。

手ぶら登園に対して期待している点はありますか?

初めてのことにトライするのは、なかなか不安でもあるし、期待もありますが、保護者あるいは保育士にとってマイナスがなければ、導入すべきだと思います。

現場の保育士や保護者の理解を高めた上で運用できれば、新しい仕組みの導入は色々とプラスに働くと思います。そしてこのような新しい取り組みは、外へ情報発信する強力な武器になるとも思っています。

まとめ

今回は、田野町長にインタビューを実施しました。保護者の声を吸い上げ、『手ぶら登園』を導入した田野町。4月から新園舎で新しいスタートを切ろうと旧態依然ではなく、新しいサービスの導入や使用済みおむつの園廃棄への変更に取り組んでいました。

保護者・保育士の「時間と気持ちのゆとり」を創出するために、『手ぶら登園』のような支援サービスを前向きにご検討いただけたら幸いです。

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