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保育士が書く保育所児童保育要録とは?書き方や実例についても紹介!

保育士が書く保育所児童保育要録とは?書き方や実例についても紹介!

保育所から小学校へ送る「保育所児童保育要録」は、子ども達の成長を共有する大切な書類です。
年長児の先生は1人1人の子ども達のことを思い浮かべながら記入していきますが、文章にうまくまとめるのは難しく不安や焦りを感じる方もいるのではないでしょうか。

今回は保育所児童保育要録の意味や書き方、書く時のポイントについてお話しをしていきたいと思います。

保育所児童保育要録とは?

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保育所児童保育要録の書き方(以下、保育要録)に入る前に、まず保育要録とはどういうものなのかを理解しておく必要があります。
保育要録の理解と記入は、今まで成長を見守り続けてきた子ども達の今後の更なる成長や学びへ大いに役立つ材料となります。

保育要録とは、保育園で育んできた子ども達の成長を小学校へ伝え、共有する大切な資料です。
特に中心となるのは最終年度の1年間における保育と子どもの成長についてです。
どのようなねらいで1年間を過ごしてきたのか、その中で子どもはどのように変化しつつあるのかを記入していきます。

保育要録を書く場合、保育指針第1章「総則」や別紙参照となっている「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を参考にします。この時、子ども達を総合的な視点で記入できるよう日頃からの子どもの様子を捉えた記録が大切です。

詳しくは、保育所児童保育要録に記載する事項に書かれています。

保育所児童保育要録の書き方と実例

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保育要録には、「入所に関する記録」と「保育に関する記録」がありますが、実際書く時に手こずるのは、保育要録の「保育に関する記録」でしょう。
「保育に関する記録」は養護と保育が一体となり、かつ総合的に書かれている必要があります。

保育要録の様式

引用:別紙資料1「様式の参考例」

「入所に関する」記録は基本情報を記入するものです。子ども本人や保護者のこと、入所期間などを記載します。

引用:別紙資料1「様式の参考例」

「保育に関する記載」は以下の5項目に分けて書く必要があります。

  • 最終年度の重点
  • 個人の重点
  • 保育の展開と子どもの育ち
  • 特に配慮すべき事項
  • 最終年度に至るまでの育ちに関する事項

日誌や月案、連絡帳など、これまでの様々な記録や情報を元に作成することになります。

次の項で、それぞれ詳しい書き方を見ていきましょう。

①最終年度の重点

最終年度の1年間、どのようなねらいのもので子ども達が生活してきたのかを記入します。これは、年間指導計画の年間目標の欄を参考に記入すると良いでしょう。
1人1人異なるものではなく、ここの欄は全ての子どもが共通事項を記入する場所となります。

文例

  • みんなで協力したり役割分担したりしながら最後まで取り組み、達成感や充実感を味わう
  • 目標に向けて多児と相談しながら、活動を進めていく楽しさを味わう

②個人の重点

1年間を振り返り、特に重視してその子どもに指導した点を書きます。最初の目標や年度途中の姿でも良いですが、子どもの実際の姿とズレが生じる可能性があります。そのため、年度末にもう一度振り返り記入すると良いです。

文例

  • 保育士やまわりの友だちに自己を十分発揮したり自分の気持ちを伝えられる。
  • 様々な活動に積極的に取り組み、友だちと協力をしながら充実感を味わう。

保育の展開と子どもの育ち

子どもの姿が、保育を展開していく中でどのように見えてきたのかを記入します。別紙参照の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を参考にしつつ、5領域が満たされている内容になっているかを留意しながら書くことが大切です。

また、子どもの成長が特に著しい部分を記入しましょう。その中で、小学校に上がり、問題になりそうな事項は具体的なエピソードも交えながら対処法を書いておくと良いでしょう。

文例

  • 人の役に立つことを喜ぶ。生活の中で同学年や年下の子の手助けを率先しておこなうなど面倒見がとても良い。
  • ままごとが大好きで、友だちと話しを展開させて楽しく遊ぶ様子がある。自分の思い通りにいかないことがあると少し黙る様子があるが、保育士に少しずつ自分の思いを話せるようになってきた。

最終年度に至るまでの育ちに関する事項

子どもの入所当初から最終年度までの育ちで大切な点を記入します。最終年度の子どもの姿を理解する上で、必要と考えられるもののみを記入すると良いでしょう。年齢ごとに分けて書くと見やすく参考になります。

文例

  • 1歳では好きな遊びに熱中している姿が印象的だった。他の子どもにおもちゃを取られると大きな声を出して意思を示していた。
  • 3歳児では人見知りをすること多かったが、担任と一緒にいると伸び伸びと遊ぶことができた。

特に配慮すべき事項

子どもによっては、障がいを持っていたり、アレルギーや病気などのハンディキャップを持っている場合があります。
小学校に上がってからも配慮すべき点を詳しく書いておきましょう。

保育所児童保育要録を書く時の6つのポイント

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保育要録は、子ども達の姿をまだ見たことのない小学校の先生へ向ける大切な書類です。
子ども達の姿を出来る限り鮮明に伝えるためには、以下の事に気をつけて書くようにすると良いでしょう。

ポイント①普段から子どもの記録をとる習慣をつけておく

日常的に子どもの記録をとることを意識しましょう。日誌や月案以外にも、気になったことをメモしておくことで保育要録を書くときの材料となります。
また、「保育に関する記録」は全体的かつ総合的に記入されるものです。細かくとりためておくことで、子どもの総合的な姿が見えてくることでしょう。

中には記録をとることがNGな園もあるかと思います。その場合は日や時間を決めて子どもを観察するなど工夫をすると良いです。
可能であれば他の保育士に変わってももらい、観察に専念することも一つの手です。

ポイント②他の保育士と子どもの姿を共有しておく

元担任や代替保育士など、他の保育士と子どもの姿を共有すると良いでしょう。
過去の日誌などの記録はもちろん参考にしますが「これはどのように考えたら良いのだろう」と子どもの解釈をする上で悩むこともあるかと思います。

そのような時に、元担任や代替保育士などその子をよく見てきた他の保育士と意見を共有することで新たな理解を深めることができます。

ポイント③先輩保育士の文章を参考にする

先輩保育士が過去に書いた保育要録を参考にしましょう。実際の保育要録の様式に書かれたものを見ると、文章の流れがわかりイメージが掴みやすいです。
また、日誌や指導計画など、文章や要約が得意な保育士のものを参考にしても良いでしょう。

文章は書いていくうちに、自分だけの視点では分からなくなってくる場合もあるため、他の保育士に見てもらいアドバイスをもらうことも方法の1つです。

ポイント④言葉は分かりやすく簡潔に

子どもの様子が一目で分かるように記入しましょう。小学校の先生は、子ども達1人1人がどのような子なのか、どのような育ちをしてきたのかを知りません。
初めて保育要録を見る先生の中で、情景が浮かぶような文章を書けることが理想的です。

ダラダラとした文章は結局何を伝えたいのかが分かりづらくなってしまいます。
書いているだけではつい回りくどい表現になってしまうこともあるため、その都度声に出して読んでみることでわかりやすい文章になっているか確認ができます。

ポイント⑤ネガティブな表現はNG

子どもが苦手なことや問題と思われることは対処法を一緒に書きましょう。保育要録は小学校以降の育ちを支えるものです。
「◯◯ができませんでした」だけでは、その子の性格や特徴を捉え、どのように対応をすれば良いのか小学校の先生にはわかりづらいです。

保育園でそれまでどのような対応をしてきて、今子どもはどのような姿になっているのかがわかると、小学校での対応もスムーズなものとなるでしょう。

ポイント⑥誤字脱字に気をつける

保育要録は、園長が小学校長へ手渡しで持っていくか、簡易書留郵便などで届ける大切な書類です。誤字脱字はマナーとしての面だけではなく、見にくい文章となってしまいます。

また、公的な書類であるため手書きの場合は修正液もNGです。下書きの段階でよく確認をするようにしましょう。
PCで書くことが良い園は、PCを使った方が修正が手軽にできるメリットがありおすすめです。

保育所児童保育要録が平成30年度改正で変わった2つのこと

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保育士が普段実践している保育や、保育士が理解している子どもの姿がそのまま保育要録に活かされるよう、平成30年度からは2つの事が変更になりました。
この変更により、保育要録自体が書きやすいだけではなく、小学校ともより共有しやすいものとなることでしょう。

養護と教育の記入欄が一緒になった

1つ目は、養護と教育の記入欄が一緒になったことです。今までの保育要録は、養護と教育の欄が別々になっていました。
しかし、保育は養護と教育が一体となっておこなわれるもの。保育の在り方に沿って、保育要録も同じ仕様に統一されました。

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を参照することになった

2つ目は、「保育所児童保育要録に記載する事項」別紙資料1の「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を参照し要録を記入するようになったことです。

引用:別紙資料1「様式の参考例」

この「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、卒園までに目指す目標ではない点に注意が必要です。
今まで保育をしてきた過程と、子どもがそれによってどのように育っているかを書きます。

幼稚園と認定こども園も要録はあるの?その違いは?

幼稚園も認定こども園も要録があります。それぞれ、幼稚園は「幼稚園幼児指導要録」子ども園は「認定こども園園児指導要録」と言います。
保育所との大きな違いは、保育所は最終年度にまとめて書かれるのに対し、幼稚園と認定こども園は毎年要録を書くことです。

それぞれの詳しい項目は次の通りです。




保育所
最終年度の重点個人の重点保育の展開と子どもの育ち特に配慮すべき事項最終年度に至るまでの育ちに関する事項


幼稚園
学年の重点個人の重点特に配慮すべき事項出欠の状況


認定子ども園
学年の重点個人の重点特に配慮すべき事項満3歳未満の園児に関する記録

保育所と認定子ども園に関しては「最終年度に至るまでの育ちに関する事項」と「満3歳未満の園児に関する記録」の欄において、要録に中心として記入する以前の子どもの記録を書く必要があります。

5領域を意識することや、「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」を参考に書くことは保育所も幼稚園も認定こども園も変わりません。総合的かつ全体的な姿で捉えることが大切です。

保育所児童保育要録の書き方を知り子どもの育ちをまとめよう

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子どもの姿は日々変わるものですが、その成長を捉え全体的な姿としてまとめることが保育要録では大切です。保育や子どもの成長が記録と共に深まることで、小学校へのスムーズな移行の架け橋となることでしょう。

保育要録を書く時期は保育士にとっても忙しい時期ではありますが、書き方やポイントなどここまでにお話ししたことを参考に記録を作っていきましょう。

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