「チームでつくっていく」からできること。ブランクを経て、今だから思う仕事の魅力~保育の現場から~
“保育士”という仕事を、選んだきっかけって覚えていますか?
“保育士”という仕事で、一番楽しいなと思うことって何ですか?
子どもたちとのよろこびも、乗り越えた大変なことも、これからの目標も……。きっと一人ひとり、想いは違うはず。一言では表せない、保育士として働く「あなただけの」理由を、このシリーズではお届けしていきます。
取材させていただいたのは、『ぬくもりのおうち保育 門真園』(大阪府門真市)。今回は、パート保育士として勤務されている塩津先生にお話を聞きました。一度は「もう先生にならないと決めた」なかで、何をきっかけに再び働かれるようになったのでしょうか?
保育士になったきっかけは?
塩津先生、よろしくお願いします。まずは簡単に、自己紹介をお願いできますか?
塩津彩美といいます。保育士歴は2年目で、その前に幼稚園教諭として1年働いていました。昨年度の春、この園の開園当時からパートとして働いています。
幼児教育に関わろうと思われたきっかけは、何だったんでしょうか?
子どものころ、10歳年の離れた弟の通う保育園に、親と一緒に送り迎えをしていたんです。そこで保育士さんを見て、「すごいなぁ」と思うようになって。
どんどん園の先生のことを好きになってしまい、小学校を卒業するときにはもう「保育園の先生になりたいです!」って言ってました。
憧れの職業だったんですね。
中学生になってからは、私一人で送り迎えをさせてもらうようになって、「どんなことをして遊んだか」という話を先生としたり、園庭で一緒に遊ばせてもらったりしました。
職業体験も弟が通っていた保育園に行かせてもらって、「やっぱり好きやなぁ」と(笑)。
まっしぐらですね(笑)。そこから、最初に幼稚園で働くようになったのはなぜですか?
大学の4年間で、いろいろと勉強させてもらったり、園に実習に行ったりしたのを経て、「1人で全員をまとめたい」っていう気持ちに変わっていったんです。
運動会なども見て、「1人対何十人」とかで子どもと向き合う姿がカッコいいな、楽しいだろうなと思って、卒業したあと幼稚園に就職しました。
ただ、ちょっとうまく働けなくて、半年で辞めてしまったんです。すぐ結婚したこともあって、そのあとは2人目の子どもが6ヶ月になるまで、仕事には復帰していませんでした。
「もう先生になりたくない」から、子育てを通じての気づき
最初の園では、少し精神的に追い込まれてしまったと聞きました。
私が至らない部分も当然たくさんあったんですけど…。働くなかで、誰に何を相談していいかわからなくなり、周囲に悩みを打ち明けられなくなってしまったんです。
病院にもちょっと通わないといけない状態で、このまま長く続けられないなと思って。子どもたちには申し訳なかったけど、途中で退職させてもらいました。
短い期間でしたが、働くなかで「良かったな」と思った瞬間はありましたか?
小さな成長をいくつも感じられたのは、すごく良かったですね。
たとえば、プールのときに顔を水につけられなかった子どもが、1週間後には「ちょっとつけてみよう」とできるようになる姿とか。日常的に楽しかったことは、いっぱいありました。
ただ、辞めたときは正直、「もう保育士にもなりたくないし、幼稚園の先生にもなりたくない」と思ってしまって。子育て中も、落ち着いたら別の仕事をしようと考えてました。
なのになぜ、保育士として復帰されたんでしょうか?
子どもを育てていくなかで、だんだん退屈に感じてきてしまって。で、外に出ようと思って教室などに子どもと一緒に行ったら、自分が前に立ってやりたくなってくるんです(笑)。
「ああ、やっぱりこういう仕事をしたいんだな」って気づいて。
それに、家で自分の子どもにできることって、どうしても範囲が限られますよね。もっと集団生活をさせてあげたいと考えるようになって。
2人目が生まれたタイミングで、その次の4月から保育園に預けて、復帰することに決めました。
「チームで働く」って、おもしろい。
そこから、この園を選ばれた理由を教えてください。
たまたま募集を見つけたんですけど、実際に話を聞いたときに、小規模としての園のあり方を聞いて「あ、すごい」って思ったんです。
それまでは1人で大勢の子どもたちを見たいって思ってたんですけど、小規模だと子どもたちを手厚く見られるし、みんなで相談できるのもいいなと思いました。
小人数だからこそ、全体が1つのチームとして保育をしていく。
実際働いてみて、そこがすごく楽しいなって感じます。1人で「どうしよう」と悩むんじゃなくて、全員で相談できる環境なんですよ。「こうやってみたいと思うんですけど…」と誰かが言い出したら、「こんなんもいいやん!」ってどんどん案が出てくる。
膨らみすぎて「じゃあどうしよう?」ってなっちゃうこともありますけど(笑)、それが最後までできたときの達成感は、すごくあります。
たとえば、どんなエピソードがありますか?
そうですね。こんなツリー1つ作るのにも、「ちょんちょんって絵の具で遊んだら楽しそう」って話が始まりで。
「でも、指1本やったらつまんない、ペタペタやろうや!」「掃除大変じゃないかな?」「ブルーシートひいたらいけるかも!」…って、みんなでこう、わちゃわちゃしながら決めていきました。最後は「服は汚れるからもうパンツでしよう」って言い出して(笑)。
子どもたちも楽しかったでしょうね(笑)。
すごく喜んでくれて。私たちにとっても、子どもたちがつくってくれた最高傑作です。
みんなで話し合ったことが、形になって、子どもたちが喜ぶと思ったら、働くのも本当に楽しくなりました。
働き方を考えながら、いつかは正職員に
子どもたちとの関わりでは、どんなことを感じますか?
子どもに対してゆっくり接することができるのが、いいなと感じてます。以前は1対何十人だったところから、ここでは多くても4人くらいなので、ぎゅーってできるのがいいなぁと。
飛びついて、抱きしめてくれたりとかしたら、その倍抱きしめます(笑)。子どもたちが来てくれるときが一番幸せですね。
今パートで働かれてますけど、この先どうしたいと考えられてますか?
あと1年経つと、上の子どもが小学生に入ってしまうので、また働き方も考え直さないといけないかな、とは思っています。学童の時間にちょっと制約があるので、今ほど働けなくなってしまうんです。それまでは、まずはここでパートとして頑張っていこうと。
もっとその先に、子育てが落ち着いたタイミングがきたら、正職員になりたいとは思ってます。
保育の仕事は、ずっと続けていかれますか?
そうですね、できる限りは。自分もパワーをもらえるので、元気に一緒に走れる間は、辞めずに働きたいなって思っています。
今はただ、この園がいいって気持ちが強い。ここで働けるなら、本当はずっと働きたいです(笑)。
今回取材ご協力いただいた保育園
今回取材協力をいただいた「ぬくもりのおうち保育」は、「子育ての楽しさを共に分かち合い、共に成長する」・「人と人とがつながり、子育てに夢がもてる地域づくりに貢献する」を理念に、関西・関東・東海地方に展開する小規模保育園です。
一人一人にしっかりと愛情を注ぎ、優しい心を育てるアットホームな少人数保育を行っています。子ども達にとって第2のおうちになれるようなアットホームな環境作りを目指し、ママが安心して社会に出られるよう日々取り組みます。
おむつの管理が楽になる手ぶら登園
おむつのサブスク手ぶら登園( https://tebura-touen.com/facility )とは、保護者も保育士も嬉しいおむつの定額サービスです。手ぶら登園は、2020年日本サブスクリプションビジネス大賞を受賞し、今では導入施設数が1,000施設(2021年6月時点)を突破しています。
保育園に直接おむつが届くため、保護者はおむつを持ってくる必要がなくなり、保育士は園児ごとにおむつ管理をする必要がなくなります。