パワハラで悩む保育士必見！具体例や対策5選を徹底紹介！

保育士の行動は、預かっている子どもの人生や命に深く関係します。そのため、先輩保育士や上司から厳しく指導されることも多いです。

しかし、「これってパワハラなんじゃないか？」と思うような場面に遭遇していませんか？

パワハラは職場の雰囲気を悪くし、保育士の心を蝕んでいきます。

充実した仕事や質の高い保育を行うためにも、パワハラ問題は早いうちに解消しなければなりません。

指導を厳しくする必要がある職場の場合、指導とパワハラの線引きが難しくなります。

保育士のパワハラについて詳しく知り、冷静に状況を把握して適切な対処を取れるようにしましょう。

保育士も悩んでる！？まずはパワハラの定義を知っておこう

保育士の世界にもパワハラは存在します。

子どもたちを安心して預かるためには、まずは仕事環境を整えなければなりません。つらい気持ちを抑えつつ、以下の2点を知っておきましょう。

• パワハラの定義
• パワハラと指導の境目

上記2点を押さえておけば、あなたが同僚保育士や上司・経営者などから受けている行為が本当にパワハラに当てはまるのかを判断できます。

パワハラの定義

パワハラは厚生労働省によって、次の要素3つを満たしたものと定められています。

①優越的な関係に基づいて（優位性を背景に）行われること

②業務の適正な範囲を超えて行われること

③身体的若しくは精神的な苦痛を与えること、又は就業環境を害すること

引用：パワーハラスメントの定義について-厚生労働省

上記の要素を満たしたパワハラは、以下の6種類が当てはまります。

• 身体への暴力
• 精神・心への暴力
• 不必要に集団から孤立させられる
• 過度な仕事量、仕事と関係ないことを任せられる
• わずかな仕事しか与えられない
• 時間外労働の強要

パワハラのパワーとは肉体的に強靭というわけでなく、権力の強さを表しています。

つまり、職場で自然と出来上がっている力関係や立場を利用した上記の行為は、パワハラに当てはまりやすいです。
※保育士が悩むパワハラの具体例・詳細についてはのちほど解説します。

パワハラと指導の境目

パワハラと判断されるのは、あくまで最初に紹介した3要素を満たしている場合に限ります。仕事の範疇と言える指摘や指導はパワハラとは判断されないため、注意してください。

たとえば、遅刻や保育士としてそぐわない服装をして叱られたなどは、パワハラに当てはまりません。また、もし孤立させられたとしても、新人の仕事に必要な教育のために個室で勉強をさせられるなども同様です。

パワハラと指導の境目は大変判断がしづらいため、安易にパワハラとは決めつけず冷静に判断しましょう。あくまで客観的に判断する必要があります。

保育士が悩むパワハラの具体例

パワハラはどんな職場でも発生しうるものですが、保育士の職場では、同僚の保育士・先輩や上司の保育士・園長などさまざまな人から受ける可能性があります。

保育士が悩むパワハラは以下の通りです。

• 子どもや同僚の前で叱られる・怒鳴られる
• 無視される
• 人格否定される
• 責任を押し付けられる
• 過度な労働を要求される

もちろんこれだけには限りませんが、保育士が悩むパワハラの具体例を詳しく確認しておきましょう。

子どもや同僚の前で叱られる・怒鳴られる

ミーティング中に他の職員の前で叱られたり、理不尽な理由で謝罪を強要されることがあります。自分が起こしたミスを発表させられたり、大声で怒鳴られ謝罪を要求させられれば堪ったものではないでしょう。

さらには園の子どもたちの前で叱られては、子どもたちに悪影響になります。

子どもが大人に対して怯んでしまうきっかけにもなるでしょう。「保育園に行きたくない」という子どもが出てきてしまうかもしれません。

無視される

精神的なパワハラの中に「無視」があります。無視は暴力を振るわれるわけでも悪口を言われるわけでもないですが、心に大きな負担をかすいじめの1つでです。

そこにいるのにいないように扱われるときの精神的な苦痛は計り知れません。

また、無視されることで仕事に重要な情報共有がおろそかになりやすく、ミスを起こしやすくなります。業務に支障をきたすような過剰な行為は、パワハラに該当するでしょう。

人格否定される

人格否定も精神的なパワハラです。

「どうしてそんなこともできないの？親の育て方が悪かったんじゃない？」「あなたは性格が悪すぎる！子どもたちに悪影響だから保育士は辞めたほうがいいよ。」など、人格を否定する言葉は心を蝕むでしょう。

もしあなたがミスをしてしまっていたとしても、ミスに直接関係ない人格否定の言葉はパワハラに該当します。

責任を押し付けられる

保育士は、保護者ともよい関係を築く必要があります。しかし、ミスやトラブルは起きてしまうものです。保護者からクレームが入ったとき、事実関係をしっかりと確認せずにあなた一人に責任を押しつける同僚や上司もいます。

たとえば、ひとりの子が怪我をした場合、その子どもの保護者からクレームが来るかもしれません。どのような状況で怪我をし、監督責任者は誰だったかなどをしっかり確認・説明するためには、保育士同士の協力が必要です。

しかし、「一人で解決しなさい」「迷惑ばっかりかけないで」と言ってくる同僚や上司も残念ながら存在するでしょう。ただ、仕事において必要な問題解決をしようとせず、一方的な責任の押し付けはパワハラに該当します。

過度な労働を要求される

強制的な時間外の労働や休憩時間を与えないなどもパワハラに当たります。労働環境や就業条件を犯すような働き方は、心と身体のどちらも害してしまいます。

他にも、家での作業を強制したり、体力的に不可能と感じさせるシフトで働かされたりするのもパワハラです。

不当な理由での減給など、相当な理由がないにもかかわらず給料を減らされる行為もパワハラに該当します。

こういった労働環境を侵すパワハラは園責任者や役職のある立場から受ける可能性が高いです。このようなパワハラを受けた場合には、対処ができるように準備をしておきましょう。

保育士に役立ててもらいたい！パワハラの対策5選！

パワハラには大きく以下の5つの対策や解決策があります。

• 休暇を取る
• 信頼できる人に相談する
• もしものときのために証拠を集める
• 公の機関に相談する
• 新たな環境へ転職する

あなたに今必要な対策方法を見つけ参考にしてください。

1．休暇を取る

子どもを預かる保育士の仕事は、休むのに勇気がいるかもしれません。子どもたちの顔を思い浮かべては「あの子が心配だし」「みんなのために休むわけには…！」という感情が湧き上がってしまう人もいるでしょう。

しかし、ずっとパワハラを受け続けるのに耐えられず、身体が根を上げてしまう可能性があります。そのため、傷ついた心と身体を癒すために休暇を取ることを考えましょう。

今後パワハラに立ち向かうにせよ転職するにせよ、あなたの人生に責任を取れるのはあなたのみです。まずは身体を回復させてください。

2．信頼できる人に相談する

パワハラに悩んでいるなら、信頼できる人に相談しましょう。園とは関係のない友人でもいいですが、内部事情を知っていて、絶対に秘密を漏らさない同僚や先輩などに相談するのがおすすめです。

パワハラに悩んでいると一人で悶々と悩み続け、メガティブな心の状態がずっと続いてしまいます。

あなたの心に寄り添ってくれる人がいれば、次の行動に移しやすいでしょう。悩んでいる状態から抜け出すための第一歩として、信頼できる人に相談するのは大変重要です。

3．もしものときのために証拠を集める

パワハラについて公の機関に相談するときがくるかもしれません。

しかしそのときパワハラの証拠がなければ、自分に優位な形で話を進めるのは難しいでしょう。そのため、もしものときのために証拠を集めておいてください。

証拠は以下の方法で集められます。

• 小型のICレコーダー
• スマホの録音・撮影機能
• 防犯カメラの映像
• 医師からの診断書
• ハラスメント記録を付けたノート

録音・撮影は、パワハラかどうかを判断する材料にもなります。また、医師の診断書は暴力を振るわれたときに有効です。

ノートには「いつ」「どこで」「だれに」「なにをされた(言われた)」かについて、過剰な労働を強いられている場合は勤務状況を記録してください。

4．公の機関に相談する

パワハラに我慢ができない状態になった場合、証拠を集め公の機関に相談しましょう。

専門家の的確な助言を受けることで、心も少し落ち着きます。

次のような機関に相談し訴訟以外の解決策はないか、自分にデメリットはないかなども確認してください。

労働基準監督署の労働相談コーナー

厚生労働省が設置している労働基準監督署の労働相談コーナーで、パワハラに関する相談ができます。

労働基準法などの法律にもとづき、指導や助言をしてくれる機関です。場合によっては行政指導などの権限をもつ機関へとつないでくれます。

ご自身がお住まいの地域の相談コーナーは「総合労働相談コーナーのご案内」から検索可能です。

法テラス（日本司法支援センター）

法テラスは法務省所管の機関です。労働・借金・相続問題・夫婦関係など、さまざまな法的トラブルを相談するための公的総合案内所で、相談すると以下の情報を得られます。

• 悩み別に相談窓口を検索できる
• 無料で弁護士や司法書士に相談できる
• リアルな解決策を聞ける
• 訴える以外の方法があるかを模索できる
• 訴える場合にかかる費用がわかる

これらの情報を得られるだけでも、今後のためになるでしょう。

ただし、基本的には相談と情報を得るための手段なため、慰謝料を請求する場合は本格的に弁護士への依頼が必要です。

5．新たな環境へ転職する

公的機関へ相談したり、慰謝料を請求するのに弁護士に依頼するには労力とお金が必要です。そのため、時間を大切にしたいのであれば新たな環境へ転職も考えましょう。

園のルールにもとづいた正規の方法で退職してください。とくに期間の定めがない職場であれば、退職を申し出て2週間が経過すると退職可能です。有給が残っているのであれば、退職を伝えた後にすべて使ってしまいましょう。

そうすれば、退職を伝えた後の気まずい状態を味わうことも少ないです。子どもたちとの別れは寂しいでしょうが、パワハラを早期解決するためには必要な手段と考えてください。

保育士転職サイト

転職をするなら、保育士を専門に扱った転職サイトが便利です。

• ベビージョブ

ベビージョブとは、小規模保育園を中心とした保育士・幼稚園教諭向けの求人情報を掲載、紹介しているサイトです。就職、転職でお困りの際は専任スタッフがサポートを行いますので、安心してご利用できます。

小規模保育園求人数業界No.1！元保育士が転職サポートをしてくれるので相談しやすいサービスです。また、自社で保育園を運営しているため、保育士さんのニーズにこたえることができるところがおすすめです。

• 保育士バンク

保育士バンクは、保育士と幼稚園教員のための転職エージェントです。担当者による手厚いサポートが受けられ、転職希望の職場の様子なども確認できます。

求人数は保育士を扱う求人の中でもトップクラス！非公開求人も多く人気のサイトです。

• 保育エイド

保育士エイドは”人間関係に悩まない職場への転職サービス”として、元保育士がキャリアアドバイザーを務める転職サイトです。

いじめやパワハラなどが原因により、転職を考えた保育士が多く利用しています。

雰囲気のよい職場を紹介していると銘打っているため、パワハラに悩む方にはとくにおすすめです。

パワハラ以外にもある保育士のハラスメント

保育士の職場にはパワハラだけでなくさまざまなハラスメントが存在します。

• モラハラ
• セクハラ
• マタハラ

これらのハラスメントについて説明します。当てはまるハラスメントに遭っているのであれば、パワハラのように今後の行動を考えましょう。

モラハラ

モラハラはモラル（倫理）ハラスメントのことで、パワハラと違い権力を振りかざすわけではありません。

グループ内ではいじめているのに、部外者の前では仲良く見せようとするなど、精神的に追い詰める行為を言います。

セクハラ

セクハラはセクシャルハラスメントの略で、必要もなく性的な発言や行為をされることを言います。女性が多い職場ですが、保護者などから保育士もセクハラの被害にあうことも。

また、現代では同性の言動もセクハラになることもあるので、注意が必要です。

マタハラ

マタハラはマタニティハラスメントのことで、妊娠中の女性に対して嫌がらせをしたり、職場から追い出されたりする行為です。

「育休が取れない」「妊娠を報告したら解雇に追い込まれた」などがマタハラに該当します。

まとめ

保育士の方で職場でのパワハラに悩んでいるなら、今の状態から抜け出すために少しずつ行動を開始することが大切です。今回ご紹介した以下の対処法を実践してみてください。

• 休暇を取る
• 信頼できる人に相談する
• もしものときのために証拠を集める
• 公の機関に相談する
• 新たな環境へ転職する

あなたが受けている行為がパワハラか判断ができない状態でも、いつかのためにと証拠を残しておくだけで心が軽くなるかもしれません。そして、いざとなれば慰謝料請求や転職を検討しましょう。

自分がつらい気持ちを抱え込むと、子どもたちにも影響をおよぼす日が来てしまうかもしれません。子どもたちと保護者、そして何よりも自分自身を守るために、最初の一歩を踏み出しましょう。