奈良市公立園での手ぶら登園の導入事例 ~保護者・保育士支援の取り組みの一環として~

園名:奈良市立朱雀こども園

地域:奈良県

施設形態:幼保連携型認定こども園

定員数:250名


奈良市では、保育園・こども園に通う園児の保護者の登園準備にかかる時間短縮や、荷物の負担軽減等を図り、子育てしやすい環境を整えることに取り組んでいます。
2020年10月に使用済み紙おむつの回収を開始し、同年12月から布団の持ち帰りを無くすため、コットベッド(午睡用ベッド)の使用を開始しています。

また、2020年12月から、おむつサブスク「手ぶら登園」のテスト導入を2園で行いました。
5か月にわたるテスト導入期間とニーズ調査を経て、2021年5月から奈良市内全ての公立園を対象に本格導入することが決定し、13園(2021年6月現在)で利用いただいています。

今回は奈良市保育総務課と奈良市立こども園に、手ぶら登園についてインタビューを行いましたので、ご紹介いたします。

奈良市子育て支援のおすすめポイントを教えてください。

奈良市役所

「奈良市フードバンク事業」で食品提供による子育て世帯の支援や地域子育て支援拠点での一時預かり等様々な取り組みをしています。
園現場の取組で言うと、保護者の登園準備の時間短縮や、荷物の負担軽減など子育て支援に力を入れています。

昨年度は手ぶら登園以外にも、使用済み紙おむつの回収やコットベッドの導入など行いました。
手ぶら登園に関しては、他の自治体からも多数の問い合わせをいただいております。

【奈良市の子育て支援情報】
・子育て@なら
https://www.city.nara.lg.jp/site/kosodate/

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手ぶら登園導入のきっかけを教えてください。

手ぶら登園導入のきっかけ

保護者の負担軽減の点から何かできることはないかと考えた際に奈良県の三宅町で紙おむつの定額制サービスによる手ぶら登園の取り組みを見つけたことがきっかけでした。手ぶら登園の先行事例として、導入にあたっては参考になりました。
三宅町保育園導入事例:https://tebura-touen.com/case/2020/09/16/miyake/

新型コロナウイルスの影響により保育者の業務負担がいっそう大きくなっていることもあり、園児の保護者だけではなく、保育者の負担軽減を図ることも課題でした。保育者の負担を少しでも減らすことが、保育現場での働きやすい環境づくりに繋がったり、保育者の確保にもつながっていくものと思っています。
導入前には、「新しい取り組みを始めることによって、保護者や保育者にとって逆に負担になるのではないか」、「手ぶら登園以外にも、保護者にとってもっと良い他のサービスがないか」、とさまざまな角度から検討しはじめました。

各園に導入を進めるにあたって、気を付けたことはありましたか。

園現場で混乱が生じないよう各園の園長先生には事前に、「保護者の支援になるサービスの導入を検討していて、園の先生方にもご協力いただきたい」ということをお話しました。

そのため、実際に導入するにあたってはスムーズに進めることができました。
各園への説明は、以下図を用いて実施しました。

手ぶら登園のサービス概要

手ぶら登園導入の感想を教えてください。

保護者、保育者ともに喜んでいただいているようです。
園や保護者からもっとたくさん問い合わせがあるのかなと思っていたのですが、手ぶら登園のサポート体制のためか担当課である保育総務課への問い合わせはほぼありませんでした。

手ぶら登園を導入したら、園のおむつ替えの作業が、少しごちゃごちゃするのかなとも思っていたのですが、園の先生が努力してくださっているのと、手ぶら登園が具体的な収納方法などをサポートしてくれたので、思ったよりスムーズに進んだと思いました。

手ぶら登園導入事例:朱雀こども園

手ぶら登園導入事例:朱雀こども園

朱雀こども園とは

朱雀こども園は、2018年4月に朱雀幼稚園と朱雀保育園が統合してできた、「幼保連携型認定こども園」で、乳児棟と幼児棟の2つの園舎で子どもたちが過ごしています。
どちらの棟も広い庭があり、子どもにも保護者にも人気のポイントです。また、朱雀校区の中にこども園、小学校、中学校、そして高校があるため、0歳から18歳までを通した教育となるよう地域と連携し、共に子育てしているところが魅力の1つです。

手ぶら登園を導入してよかったことを教えてください。

登園時の荷物を減らせる点や、おむつに名前を書かなくていい点は、保護者の負担軽減になったと思います。
また、奈良市では2020年10月に使用済みおむつの持ち帰りがなくなり、2020年12月に手ぶら登園のテスト導入があったので、おむつの持ち込み・持ち帰り問題がほぼ同時に解決されました。

手ぶら登園を導入して大変だったことを教えてください。

クラス担任は順調に対応できたかと思いますが、クラス担任ではない人がおむつ替えに入るときは引継ぎが大変でした。
「誰が手ぶら登園を利用していて何サイズなのか」、「誰が家庭からおむつを持っているか」など、利用状況を把握するまでに時間がかかりました。

保育園のおむつ収納ボックス

そのため、元々の運用からは大きく変えないように工夫しました。
今は、手ぶら登園を利用している園児には使い放題のおむつを、その他の園児には自宅から持ってきたおむつを、それぞれのおむつボックスにセットしています。

当初は混乱することもありましたが、どうしたら上手くいくかを園の先生同士で話し合ってもらって、各クラスそれぞれで運用してもらっているので、今は落ち着いてきています。
また、園が広いのでおむつパックの置き場所についても悩みましたが、保育者の着替え室にこのようにして置くことにしました。

保育園のおむつ収納ボックス2

保護者の反応を教えてください。

保護者の反応を教えてください。

保護者はおむつに名前を書くというのがやっぱり大変だったみたいで、手ぶら登園を利用されている人はその手間がなくなったと言っていました。

おむつが入っているダンボールは邪魔にはなりませんか?

園庭

届いたダンボール箱はしっかりしていたので、空き箱をつかって棚やおもちゃを作らせてもらいました。
園庭に置いたら、そこに潜っていったり、ボールを入れたり、子どもたちなりに工夫して遊んでいます。

園長の想い

園長先生

保護者の方には、手ぶら登園によって生まれた空き時間で、膝に子どもを乗せて絵本を読むなど、親子でほっこりとする触れ合いの時間をもってほしいです。
絵本の中身も大事ですけど、声の振動や動きが伝わることで感じられる人の温かさとか、知識だけではない、見えない学力や感性みたいなところも大事なのかなと思います。

まとめ

今回は奈良市保育総務課および奈良市立朱雀こども園にインタビューをさせていただきました。手ぶら登園の導入が「保護者・保育士の負担軽減」という課題の解決に多少なりともつながったこと、非常に喜ばしく思います。

子育てしやすい環境を整えるためには、子育ての大変さに悩む保護者や業務過多によって悩む保育士に対して、具体的な対策を実施していくことが重要になってきます。手ぶら登園のような支援サービスを活用して、できる部分から改善に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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